９番のバーディで、覚醒した。それまでイライラが募るラウンドも150ヤードの２打目を９番アイアンで２メートルにつけたのを契機に、あっという間に首位タイ浮上。
ここ最近感じている左手親指付け根の違和感。
本人は絶対に「痛い」とは言わなかったが、ショット時に左手を離したり、右手１本だけで素振りをしたり。異常を抱えているのは明らかだが、それでも最後は怒濤の連続バーディ締めで、先に上がっていた小田孔明をあっさりと捉えた。

「修正出来たわけではないけど。バーディが取れて良かった。９番のセカンドで一度、うまく行ったあとは、同じような感じでプレーが出来た。自信は持てないけれど、スコアを伸ばせた」。
本調子でなくともＶ争いに加わった。

地元で今季４勝目なら、他の選手の結果にかかわらず、史上最速のキングが誕生する。石川遼でも、デビューから２年かかった。ルーキーで賞金王に輝いた選手はまだいない。金字塔へのカウントダウンが始まった。

この大会はアマチュア時代も含めて４年連続５度目の出場。ここKochi黒潮カントリークラブは地元・明徳義塾高校の時代から熟知した庭で「しばらく優勝していないから、勝ちたい気持ちは強い」。

しばらく、とは言っても９月のフジサンケイクラシックで今季３勝目。怪物ルーキーには、もはや２ヶ月のブランクですら、勝利の味に飢えている。
新たな歴史に名前を刻むのには、もってこいの舞台で頂点に向かって突き進む。

• 松山 英樹
• 小田 孔明
• 小田 孔明