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2009年度ジャパンゴルフツアー表彰式<2>
「遼が昨年、この賞を獲って、今年は僕…。順番的におかしいんじゃないか…」。そう言って、笑わせた。
さらに、「新人らしからぬ僕がこの賞をいただくのもなんだか妙な感じで。似合わないですね」と、独特な言い回しで謙遜しつつ、「一生に一度、頂けるか頂けないかの賞で、非常に誇りに思います」。
2009年度の最優秀新人賞 島田トロフィの受賞式で、堂々と胸を張った。
記念のトロフィのプレゼンターとして、壇上に上がった永久シード選手の倉本昌弘とはジュニア時代から親交が厚く、学生時代から何かと面倒をみてもらった恩人と、照れ笑いで向き合った。
賞金ランキングは2位に終わったが、本人は「シード1年目にして100点以上の出来。最高の年だった」と、振り返る。
6月の日本プロでのツアー初優勝を皮切りに、石川遼と並ぶ今季4勝。
11月には「年頭から勝つと決めていた」というブリヂストンオープンでホスト試合を制して日頃の恩に報いたことも、嬉しい。
そして何より「遼と最後まで良い戦いが出来たこと」。
その達成感に、一点の曇りもない。
「悔しさとかもいっさいなくて。遼も僕も、全力を尽くしたのがこの結果で。終わってから遼には、ほんとうによくやったという言葉をかけたし、ボク自身にも、よく頑張ったという言葉を自分にかけました」。
終盤は、怪我に泣かされたがそれでも完全燃焼の2009年。
「さほど大きな事故もなく、1年を終えられた。それが僕には一番何よりなことだった」と、寸分の悔いもない。
やんちゃな言動や、破天荒な行いがいつも何かと話題になるが、素顔は素直であったかい。
今月7日に行われた表彰式のスピーチでも、家族や関係者への感謝の気持ちもぬかりなく、また18日には都内のホテルで「感謝の集い」を主催して、約800人の出席者を前に、感極まって号泣した。
「僕がここにいられるのは、僕に関わってくれたすべての人たちのおかげです。感謝の気持ちでいっぱいです」と、嗚咽した。
このオフは、まずは右手首と腰痛の治療に専念し、2010年に備える。
そして来季こそ、初の賞金王獲りはもちろんほかの各部門別ランキングでもいっそうの飛躍を目指す。
表彰式のあと、石川と宮本勝昌・選手会長と臨んだ記者会見で、「来年、意識したい数字は」との質問を受けて、しばらくランキング表とにらめっこ。
「俺ってほんとに2位が多い……。ミスター2位だな」と自嘲の笑みで、「来年、意識していかないといけないのは平均ストロークと、パーキープ率、それからパーオン率と、バーディ率と……」。
ひと呼吸置いてから、さらに続けた。
「俺のゴルフのスタイルから言って、フェアウェーキープ率もトップ5位内には」と、次々と課題を掲げる池田に、かたわらの宮本も呆れ返って「それって、全部じゃないの!」。
そんな先輩の鋭い突っ込みにも破顔一笑。
「欲張りなんで…。全部ですね!」。
世界ランキングは現在33位で、来年のマスターズトーナメントへの初出場が濃厚だ。
しかし「招待状をいただいた時点で、そこをひとつの目標として頑張っていけばいい」と冷静に、「来年はまず日本で1勝。そして米国にもチャレンジしていきたい。さらにスケールの大きな池田勇太になって、またここに戻って来ます」と、スポンサー、関係者と駆け付けた大勢のファンのみなさんの前で堂々と約束した。
※デビュー戦から起算してツアープレーヤー転向3年以内、またはツアートーナメント30競技未満の者を対象に選出される「最優秀新人賞 島田トロフィ」を受賞した池田勇太には、社団法人日本ゴルフツアー機構より記念のトロフィと、株式会社 東洋丹芝園の代表取締役社長・澤井健さまより賞金100万円(=写真4番目)と、副賞として株式会社デサントの代表取締役社長の中西悦朗さまより「ミラ・ショーン スポーツ/ランバン スポール ジャケット&カジュアルシャツ2セット」(=同下)が贈られました。