もっとも新しい勝ち星が残る舞台で、池田勇太が今季初戦を迎える。
昨季、16年保持してきた賞金シードを失い、有資格の「生涯獲得賞金25位」の行使も今年はひとまず見送った。
まっさらの状態で、今オフは一昨年に発症した顎偏位症の治療に専念。
歯やあごの骨などを削る2年がかりの手術がこの3月にようやく完了し、歴代覇者の資格がある本大会で術後明け初の“試運転”に挑む。
本大会の上位3人に「全英オープン」の資格が付与される。池田も2009年の初出場から8度の出場経験を誇るが「今は18ホール歩けるかどうかだけを考えていますので…」と、苦笑する。
術後1か月の4月にアプローチから始めて、2か月後の今月、ようやく球打ちした。
「これだけ続けてラウンドするのも(術後)初めてなんで…」と、火曜の練習ラウンドと、水曜日のプロアマ戦とで、きょうまで2ラウンド目。
「1ラウンドやるのがこんなにきつかったかな?」と、また苦笑していた。
術前後を「古い自分と、新しい自分」と表現し、「1回試合でやってみたいとわからないこともある。体的にも大丈夫なのか試す場」と、真摯に向き合う。
かみ合わせの異常からきていた全身の痛みが手術によって完全消滅したのはもちろん幸いだった。
「首や肩の痛みはまったくない」。
でも、術前の痛みに耐えながらのスイングや、かばいながらの打ち方や、感覚とのあまりのギャップにまだついていけてない。
術前後で両肩の高さや両腕の長さに3センチも差異が起きているそうだ。
「痛いときはどんどん長くなっていたクラブが、今度は長くて仕方ない。グリップも、毎日同じものを握っているのに毎日全然違う太さに感じたり、まだまだ全然落ち着かない」と、復活への模索はまだ始まったばかりだ。
「前とまったく同じ状態にはもう戻れないとわかっているから」と、悩ましい状況ではあるが「新しい自分を作っていく、という感じで、まあ…なんだか面白いですよね」。
帰ってきた歴代賞金王(2016年)の表情は明るかった。