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なるか最終日の全勝V、歴史的な大逆転で日本は伝説を作れるか

もはや、最後のシングルスストロークプレーは、どのマッチも薄氷の最終日となる。今年、4回目を迎えた「MILLION YARD CUP(ミリオンヤードカップ)」は長崎県のパサージュ琴海(きんかい)アイランドゴルフクラブを舞台に、初の“ホーム開催”で、2年ぶりのタイトル奪還にむけて、日本は1ポイントも無駄に出来なくなった。

2日目のフォアボールストロークプレーでは、この日唯一の得点も、深堀圭一郎と石川遼が持ち帰った引き分けの0.5ポイントでは、初日の大差を埋められるわけもない。

2日目のフォアボールストロークプレーの結果

石川は、「文字通り、手に汗握る。どんなにグリップを吹いても、汗が出てくる」と言った。確かに、14番から2人で重ねた4連続バーディは、深堀も「鳥肌が立った」。
石川が「いつぶりかな」と笑った。14番で8メートルをねじ込み、振り下ろしたガッツポーズも、17番でカラーから決めた7メートルの劇的バーディも、確かに本人も言ったように、近頃では普段のトーナメントでもしばらく見られなかった白熱のシーンも、しかし勝ち点には及ばなかった。

洪淳祥(ホンスンサン)と、H・W・リュー(リューヒュヌ)ペアと、タイスコアで迎えた18番は深堀がティショットを左の林に打ち込みながら、先に渾身のパーセーブで、最後こそ石川に心おきなくバーディトライを狙わせるという理想のコンビネーションも、「上って下り、また上るスライスライン。難しかった」と、最後の見せ場も大ギャラリーのため息に変われば、報われない。

この日2日目は、フォアボールのストロークプレーで、9つ上の小田龍一と先陣を切った池田勇太は、潔く認めた。「今日は、15番での俺の3パットが相手に流れをゆだねた」。9番で、小田のイーグルを契機に応戦に出た2人はしかし、上がりの3ホールで力尽きたと思い当たるからこそ、「俺が、15番でちゃんとバーディを取っておくべきだった」と、若大将は悔やむ。

2日目は、キャプテン青木がペアを入れ替えた2組もまた、ふるわなかった。近藤共弘と高山忠洋は、昨年大会で唯一負けなしだった黄金の同級生コンビも、今年はI・J・ジャンと趙珉珪(チョミンギュ)の前に倒れた。

東北福祉大のOBペアは、11歳の年の差ながら、普段から相性抜群。谷原秀人はルーキーの藤本佳則と、息の合ったコンビで63のビッグスコアで応戦したが、金度勲(キムドフン)と姜庚男(カンキョンナム)に、それを軽々と上回る60を出されては、結局手も足も出なかった。

「責任を感じている」と、何度もつぶやいたのは、藤田寛之。
谷口徹と、いまもっとも勢いのある40代コンビがチームを引っ張るはずが、「今日はコンビネーションが、まったく機能していなかったと思う」。

ドンファンと朴相賢(パクサンヒュン)ペアに、こてんぱんにやられた。前半の9ホールで5打差をつけられては、挽回の余地もない。
初日からの連敗に、「責任を感じています」と、藤田は繰り返した。
「もちろん、きっと谷口さんも」と、付け加えた。
それだけに、最終日のシングルスストロークプレーでこそ、燃えないわけにいかない。
「もう負けられない。全勝するくらいでいかないと」と、藤田。
谷口も、「明日は1対1の戦い。普段の試合と一緒で、あとはもうやるだけですね」。
なるか最終日の全勝V、歴史的な大逆転で日本は新たな伝説を作れるか。

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