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このツアー3勝目をきっかけに、ディネッシュ・チャンドが世界に羽ばたく
このツアー3勝目をきっかけに、ディネッシュ・チャンドが世界に羽ばたく
その姿が、昨年のUSPGAツアーの賞金王と重なった。
2打差の首位で迎えた18番パー5。残り270ヤードの第2打を、スプーンで右10メートルに乗せたイーグルパットはフックラインに乗って、カップに吸い込まれていった。
その瞬間、鋭い雄たけびとともに、力強く握った右こぶし。
何度も何度も繰り出した、気迫のこもったガッツポーズは、同郷で師匠のビジェイ・シンさながらだった。
前半の7番パー4で、残り79ヤードの第2打をチップイン。後半の11番パー4でも、手前バンカーからチップインイーグル。
そしてラストの18番パー5を含む1ラウンド3イーグルは、ツアー史上4人目の快挙達成に、酷暑に見舞われたよみうりCCの18番グリーンもいっそう、ヒートアップだ。
まだバーディチャンスを残していた同じ組の桑原克典が、苦笑いで思わずつぶやく。「あとから打つ俺が、やりにくいじゃないの・・・」。2位に4打差つける圧勝は、3 年ぶりのツアー3勝目。他のライバルたちもあ然呆然の劇的Vに、世界への扉が開いた。
この優勝で、対象試合も次週の1大会となった全英オープン日本予選ランク4位に浮上。メジャー出場のチャンスが広がった。
また、年末のワールドカップにも、「ビジェイから、またペアとして呼んでもらえるかもしれない」と、次々と夢が膨らんでいく。
表彰式で、土井共成・大会会長に着せかけられたチャンピオンブレザーは、マスターズのグリーンジャケットと同じ色。
昨年、ギャラリーとしてオーガスタを観戦したとき、痛切に感じたものだ。「ここは観て回る場所じゃない。選手として、プレーするところだ」と。
2000年大会のビジェイ・シンに続くフィジー出身のマスターズチャンピオンとして、あのグリーンジャケットをはおることは、さらに究極の夢でもある。
今週は、その予行演習。「これから、もっともっと練習して夢をいっぱいかなえたい」。この勝利をきっかけに、チャンドが世界へと羽ばたこうとしている。※<参考>過去のツアーにおける、1ラウンド3イーグル記録
73年のツアー制度施行後のツアー競技における1ラウンド3イーグルは、
・1986年ダンロップ国際 第1ラウンド ジム・ラトリッジ
(茨城GC東Cの1番パー5、9番パー5、18番パー5)
・1994年フィランスロピー 第2ラウンド 西川哲
(ゴールデンバレーGCの7番パー5、10番パー4、18番パー5)
・1997年宇部興産オープン 第1ラウンド 稲垣太成
(宇部CC万年池西Cの9番パー5、11番パー5、15番パー5)
そして今回、マンダムルシードよみうりオープン最終日のディネッシュ・チャンドは、以上3人に続く史上4人目の快挙となります。