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日本は大ピンチ!!
この日、日本の勝ち点はなんとゼロ。唯一の得点も、深堀圭一郎と石川遼が、洪淳祥(ホンスンサン)とH・W・リュー組からどうにかもぎ取った、引き分けの0.5ポイントのみ。
4敗1分という、惨憺たる結果に終わった。
韓国の8.5点に対して、日本はわずか1.5点では、本当にもう後がない。
大会は4回目にして、初の“ホーム”での開催で、2年ぶりのタイトル奪還に黄信号が灯っている。
いよいよ最終日のシングルスストロークプレーで、2敗すれば日本は負ける。9勝1敗か、8勝2分なら辛勝。7勝3分におさめられれば、どうにかプレーオフに望みを託せる。非常に厳しい最終決戦に備えてキャプテン青木は、最年少メンバーと、最年長メンバーに助けを求めた。
最終日のシングルスの組み合わせは、2日目のフォアボール競技が終わってすぐに、韓国の曺泰雲(チョテウン)キャプテンと顔をつきあわせて、選手名を交互にぶつけあう形で行われた。
「でも、韓国選手は俺には顔と名前が一致しない選手がいて・・・」。
困惑する青木を、谷口徹と石川遼が支えた。
韓国勢は普段、日本ツアーで戦う選手も多い。谷口と石川なら、そのときの相手方の調子やプレーの特徴を把握しており、「この選手には彼がいい」と、青木へのアドバイスも、すんなりと出てくる。
曺(チョ)キャプテンが選手名を読み上げるたびに、谷口が即座にメモを取り、3人で話し合い、最終日にむけて、最善の策を出し尽くした。
最終日のシングルスストロークプレーの組み合わせ
完成した組み合わせを前に、青木は決然として述べた。
「ついた火は、自分たちで消すしかない。明日は、みな全勝するくらいのつもりでやってくれるはずだ。期待していてくれ」。
歴史的な大逆転Vにむけて、10人のサムライが立ち上がる。