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ダンロップフェニックストーナメント 2018
初Vがかかる堀川未来夢(ほりかわみくむ)。もっとも倒したい相手は・・・
「キャディさんは、木の下を行って欲しいというニュアンスだった。確かに、パーを獲るなら下からだった」。
しかし堀川は、危機に直面してさえ最終ホールのバーディが欲しかった。
初Vを狙う最終日は、ひとつでも多くの貯金が欲しかったのだ。
「チャンスがあるとしたら木の上から。1,2打の差ですけど、それは凄く大きいので。消極的よりかは積極的に攻めたかった。明日につながる終わり方がしたかった」という。
今週、バッグを担いでもらう前川哲彦さんは、所属先ウェブエナジーの会長さん。ただでさえ頭が上がらない大恩人は、ここフェニックスで一度に16日連続のラウンド記録もあり「コースを熟知している」。
クラブ選択や風もグリーンの読みも、完璧なサポートには非の打ち所がないが「今日は最後だけ、押し切らせてもらった」。
恩人の意見を振り切って、いちかばちかの挑戦が最高の結末を呼んだ。松の木の上から高い球でピンをねらって、1メートル弱につけた。
思惑どおり、バーディで締めくくった。
自己ベストの2位タイに入った15年のブリヂストンオープン3日目以来、自身2度目の単独首位獲りを成功させた。
「2日目まで良くても、いつも3日目にアガってスコアを落としてしまうが今日は周りを見ずに、プレーすることが一番大事だと思った。リーダーボードもあまり見ないようにして、淡々としたプレーを心がけて良い結果が出た。自分の中では出来すぎです」ケプカや松山ら、世界ランカーが集う大舞台でまずは第一の“鬼門”を突破。
先月から毎日スタート前に、左手1本のアプローチを50球。「そのあとアイアンを打つと、インパクトゾーンが長くなり、凄くイメージが良くなる。練習方法が、マッチしていて。ウィークポイントだったショットもしっかりと球をコンタクトして打てる」と弱点も、ひとつ克服できた。
13人の初V者が誕生している今季。うち20代は9人。
「若手がたくさん優勝している中、自分が取り残されている気がしないでもない」。
さらにその中でも意識するのは、自身3度目の最終日最終組でぶつかることになった賞金1位の同級生だ。
「今日もスタートする前から、周吾が来ると予想していた。前半上がってボードを見たら、すでに2位にいたので案の定」。
今平は、中学時代に出会ったころから「技術も、ハートの強さも別格だった」という。
「やっぱり、意識せざるをえない。いま一番倒したい相手」。
ケプカでもなく、松山でもなく、周吾を倒して悲願の初Vならこの上ない喜びが待っている。
まして、45回の伝統を誇る今大会。錚々たる面々が歴史を彩る。
「この中に、自分の名前を残せたら、これほど良いことはない」。
25歳のモットーは「常に明るくプレーすること」。
ピンチの時こそ大きな口で作る笑顔を、最後は歓喜でいっぱいにする。