記事
ISPSハンダグローバルカップ 2015
矢野東が首位を死守
この日3日目は、世界ランカー2人に挟まれた。ポールターもアイケンも、「先週、テレビで見てた人たちだし」。全米オープンからの強行軍で来日した選手との最終組は、「昨日は気にしないなんて言ったけど」。無理だった。「やっぱり見ちゃう。集中出来ない」。
ちらちらと、横目で見ながらチャンスパットも決まらない。
7番で、わずか80センチのパーパットを外した。「思い出したくもない。あれは自分が一番嫌な外し方をした」。シード落ちを喫した昨シーズンを彷彿させた。「短いのをことごとく3パットする」。イップス気味の選手に多いパターンとして、「強く打ち過ぎてオーバーする。ガーンと打っちゃう」。そこから完全に、感覚が狂ってしまって、パーを重ねていくので精一杯になってしまった。
忸怩たるこの日のゴルフの中でも、光明は16番だ。8メートルはあったという長いバーディトライが決まって、思わず天を仰いだ。万歳した。人差し指を立てていっとき、悦に浸った。
「目標のアンダーパーに到達出来た」。
次の17番パー3では、またもや昨年のパターンとして、花道からパターを持つというのをやってしまった。「あそこは勇気が出せなかった。悔しいけどパットで行った」と、もがき苦しみながらも、前日の1位を守った。
同じ組のアイケンが、16番でやはり、花道からパターを使ったことにもほっとした。「あの人もアプローチがやばいよね?!」。ウェッジでトップしたり、「ボギーは全部、アプローチのミス。彼もやばい」と見て取って、安堵した。「サンシャインツアー(南アツアー)の賞金王も、ああいうことがある」。本人に聞いてみなければ、真相は分からないが、アイケンも矢野と同じ、イップス気味の症状が出ているような気がして、自分だけじゃないと、勇気がわいた。
様々な葛藤の中で、最終日もまた最終組でプレー出来る。「目標どおり、今日もアンダーパーで回って、1位にいられる。一歩前に進めてる」。このまま復活の手がかりを、一気に引き寄せてしまえるか。