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三井住友VISA太平洋マスターズ 2012

石川遼は「緊迫感が良い意味で切れた」

いま、日本でもっとも多忙な21歳は、もちろんオフとはいっても、自分だけの時間を持てるのは、きっとほんの少しだろう。それでも、藤本と同様に、石川にとっても先週1週間の空き週は、ガス抜きには十分だったようだ。

「試合から離れたことでリフレッシュが出来た。今までの緊迫感が、良い意味で切れたと思う」。
いつも初日のスタートホールで感じるという「自分への期待や不安。そういうのが入り交じって独特の緊張感」。
しかし、この日は「そういうのがなかった。良い意味で、鈍感にプレーが出来た。集中力をマックスにして、大会を迎えることが出来た」という。

2010年にツアー通算9勝目を上げた相性の良い舞台。
前半は、18番でイーグル獲りに成功すると、後半3つのバーディで、好発進。
この日は実に、2年ぶりにかぶったというサンバイザーは、周囲に「一瞬、誰か分からなかった」と口々に言われたほど。休みの間にイメチェンにも成功した。長く伸ばしていた後ろ髪を、1年4ヶ月ぶりに切った。
「このくらいは切りました」と指で示したのは、およそ20センチほど。
長い髪に流行りのワークキャップ姿も悪くはなかったが、「カットしたことで、サンバイザーもかぶれる髪型になった。自分ではこちらのほうがしっくり来る」と、この点でも間違いなく気分は上がった。

きっかけは、矢野東との他愛ない会話からだった。「これからどうしよう」と髪型を相談した石川に、ツアーのファッションリーダーは、「どうせなら、もっと伸ばせば」。
「それを聞いて、じゃあ切ろうと。矢野さんがそういうふうに言うときは、たいてい適当に言っているので」とおかしそうに笑う様子にも、リラックス感が漂う。

「プロゴルファーは、そこしか楽しめる部分がない」と、もともと人一倍に髪型や、ウェアや小物に凝るお洒落好きには、そこに時間をかけるという点にも、気持ちの余裕が感じられる。
今週から入れ替えたドライバーと、サンドウェッジと、パターとのマッチングもまずまずで、特にサンドウェッジは「狭い範囲に1ヤード単位で打っていく距離感が合っていて。ホッとしました」と、いくつかあったボギーのピンチも新兵器で見事にしのいで見せるなど、見せ場も作って胸をなで下ろした。

2年前の今大会以来となる、ツアー通算10勝目にむけて、好スタートを切った。
「でも、4日間で優勝スコアは15か16アンダーは行く。それをターゲットにして、1ホールも気を抜かないでプレーしたい」と、良い緊張感はそのままに、節目の勝ち星を狙っていく。

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