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ジャパンゴルフツアー選手会が東北3県に今年2度目の福祉車両の寄贈式(9月8日)

ダッシュボードにサイン
選手たちは、何年たってもあの日のことを忘れない。4年前のあの日。たくさんの尊い命が奪われた3月11日。ジャパンゴルフツアー選手会では節目ごとに、現地に入り、その都度、復興の状況を自分たちの目で確かめてきたが、代表して今回の寄贈式に駆けつけた選手会副会長の宮里優作が見る限り「かなり元気になってきたようには感じる」。

仙台の東北福祉大を卒業したあとも、妹の藍さんと3年あまりを過ごした第二の故郷。震災直後にもすぐに現地に入り、呆然と立ち尽くした当時の風景から考えればもちろん、復興は確かに進んでいるように見える。

「でも明らかに十分には行き渡っていないと思える地域も、やはり依然として多くて」。選手会では復興の翌年から各トーナメントの獲得賞金の1%、金額にして約3000万円を毎年、チャリティ金として東北地方に贈ってきた。

それも今年は就任して3年目の選手会長が、「ただお金をポンとお渡しするだけではあまりに味気ない」。何か目に見えてお役に立てるものを、と一昨年の2013年度に貯めたお金で「スズキアルトL CVT」の福祉軽車両30台を購入。
ちょうど“4年目”を迎えた3月11日にはあいにくの大雪をかき分けて、池田勇太が初めて臨んだ寄贈式。

大学の後輩であり、若き選手会長の熱い思い。そして、そんな池田に賛同した選手全員の思いを背負って今回2度目の寄贈式は、昨年の2014年度分の賞金で、さらに新たに購入した30台を岩手福島、宮城の3県に届けにやって来たのが優作だった。

「僕らにこういう機会を与えていただけたことに、逆に感謝したい」と優作は言った。2度目の寄贈式となった9月8日のこの日は、1日で一気に3県を回る強行スケジュール。先週は、山梨県の富士桜カントリー倶楽部で行われたフジサンケイクラシックの会場から、その足でまず最初の訪問地である岩手に入った。
さらに2週前の福岡県は「RIZAP KBCオーガスタ」から数えて、丸々2週間名古屋の自宅に帰っていない。
またこの日の翌9日は、千葉県の千葉夷隅ゴルフクラブで、10日から開催されるチャレンジトーナメント「ひまわりドラゴンCUP」の会場に向かう予定だ。
同大会の開幕前日に、チャレンジ出場者を対象に行われる選手会ミーティングで、来季のシード入りを目指す選手たちの意見を吸い上げ、今後の選手会運営に反映させていくという大切な役目も控えている。

次のツアーはANAオープン直前の1週間のこの空き週も過密スケジュールの選手会副会長には、試合に向けた調整にもなかなか取りかかれないままだが、岩手県の社会福祉協議会でも、それから新幹線で移動して、宮城県では各市町村名入りの軽車両を用意してくださったスズキ自販宮城での寄贈式でも、到着するまでは、それまで土砂降りの大雨も、優作が各市町村のみなさまに軽車両のキーを手渡すころにはちょうど止んで、「せっかくの日なので本当に良かった。ツイてましたね!」と疲れはみじんも見せずにエビス顔。

岩手では、ときおり晴れ間さえのぞいた東北の空の下で、みなさんの感謝と喜びの声を直々に聞けば、むしろこれから本格スタートするツアー後半戦にむけても、いっそう気が引き締まる副会長だ。
移動中の車中から眺める第二の故郷は、震災当時のまま舗装されていない危険な道路がまだまだあるし、そんな被災地域でも、きっと前回と合わせて計60台の福祉車両を役立ててもらえるはずだ。
東北の方々が本当に心から安心して、笑顔で暮らしていける日が訪れるまで。「僕らもまだまだこれからこういう活動を長く続けていかなければいけないし、後に続く若い選手たちにも引き継いでいかなければいけない」。これからも選手一丸となって、東北に心を寄せ続けていくつもりだ。
  • 選手会を代表してマイクを握る
  • 復興支援はこれからも、選手みんなの使命・・・

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