今年の関西オープンは、23人のアマチュアが挑戦し、その中で長谷川さんは、ただひとり予選通過を果たしていたから、決勝ラウンドは、ただひたすら上を目指すだけでよかった。

今年は、大阪学院大学の最終学年を迎えて、来季のツアーデビューを期して、ツアーの出場優先順位をかけたＱＴのファーストから受験するだけに、最終日は大事な予行演習の１日。

「途中、惜しいパットを逃したりもしましたけど、最後に良い感じで上がれたのは良かった」と、インスタートのこの日は、上がりの３連続バーディで、その片鱗をのぞかせた。

練習ラウンドは藤田寛之と回り、予選ラウンドは優勝争いを繰り広げた山下和宏との同組。そして、最終日は先週の日本プロでメジャー初Ｖを制したばかりのアダム・ブランドと、特に後半は競い合うようにスコアを伸ばした。

アイアンショットと小技には自信があったが、藤田や山下をそばで見ているうちに、「もっとレベルアップが必要」と、思い知らされたそれまでの3日間。「山下さんのようなゴルフが出来たら、優勝争いも出来ると分かった」と、目に焼き付けて臨んだ最終日。

プロとしての心構えも学んだ。「ミスをしたときはもちろん、バーディをとっても喜びすぎずに落ち着いてプレーされていた」と、トッププロたちから平常心の大切さを学んだ４日間の締めは、しかし自然と身体が反応していた。

ギャラリーが集まる最後の９番ホールは、左奥から７メートルのバーディトライをねじ込み、３連続バーディ締めに、思わず両手を上げて、プロ顔負けのパフォーマンスで歓声に応えた。「緊張したのは初日のスタートホールくらい。あとは普段どおりに回ることが出来た」と、通算８アンダーで堂々の18位タイに入った。

今大会は日本オープンの予選会を兼ねており、まだ出場権を持たない長谷川さんは、しかし大会独自の予選会とファーストＱＴの日程が重なっており、現時点では繰り上げ出場が出来るかは、まだ微妙だが、大いにチャンスも見えてきた。

また次週の「ミズノオープン」は、全英オープンの日本予選を兼ねており、世界最古のメジャーも夢ではない。「そこはそう、簡単にはいかないと思いますけど来週も、少しでも上へ」。海外志向が強い21歳はもう早、専属のトレーナーと管理栄養士をつけて本格的な身体作りに取り組んでいるそうで、身長181センチの逸材は、今後も期待度大だが「期待されただけで終わらないように、頑張ります」と照れ隠しで笑った。

• 長谷川 祥平
• 藤田 寛之
• 山下 和宏