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三井住友VISA太平洋マスターズ 2015

愛するゴルフファンのみなさんへ。選手たちからせめてものプレゼント

最終日は、まず大雨によるコースコンディション不良のため、予定より30分遅れのトップスタートで、一度はコースに出ていった選手会長は濃霧の中で、考えた。

2度目の競技中断で、いよいよ72ホールの成立が危うくなってきたと察知した池田勇太は、3番ホールのティーインググラウンドで、競技再開の合図を待つ間も、悪天候の中でもこれだけ集まってくださった多くのファンのみなさんにも、もしもほとんどプレーを見せられずに終わってしまうことが、残念でならなかった。

10時35分に競技中断が決まるなり、招集をかけた。選手たちにパッティンググリーンに集まってもらった。「これから、18番グリーンでデモンストレーションを開催しましょう」と呼びかけた。

もちろん、無理にとは言わない。「時間がない方は、クラブハウスの前でギャラリーにサインをしていただくだけでもいい。もしも、余裕のある方は、1時間ほど付き合っていただきたい」と頭を下げた。

豪華なメンバーが集まった。真っ先に“会場”に向かったのは石川遼。今年の日本オープン覇者の小平智も、池田とともにマイクを握って司会進行役を兼ねた宮里優作に「古閑智プロ」とか、石川にまで「古閑先輩!」と、イジられながらも、嫌な顔ひとつせず、むしろ「いま一番、ノってる小平です」。まさにノリノリで、水切りショットやアプローチ合戦、奥の段の上から、この日最終日の18番のピン位置は、池に向かって打つ難しいパター合戦で、ただ一人ボールをカップにねじ込み、ギャラリーを湧かせた。

そのほか、永野竜太郎や今平周吾。売り出し中の若手に混じって気を吐いた。61歳の存在感が輝いた。
「試合よりも本気じゃないか?」と、本人も苦笑したほど石川らとの対戦で、真剣勝負を繰り広げた中嶋常幸。しまいには、優作の腕に輝くン千万円の超高級腕時計「リシャール・ミル」を「賞品にしよう」と言い出したからさあ、大変!
そのあと、クラブハウス前でサインを終えた松村道央や市原弘大らも加わった。選手会長プロデュースによる“即席マッチ”は、ツアーきっての立役者らの“協演”で、ますます最高潮に・・・・・・!!

最終日の優勝争いを、ギャラリーのみなさんにお見せ出来なかったのは本当に残念だったが、最終日の18番ホールに、これだけの顔ぶれが揃って“熱戦”を繰り広げるというのも、なかなかない。深い霧に覆われた御殿場で、またとない機会に人々の笑顔と歓声がこだました。“激闘”の余韻が残る18番で行われた片山晋呉の大会2度目の表彰式もまた、いっそう盛り上がった。

最終日の競技中止のせめてものお詫びと感謝の気持ちと、選手たちが繰り広げたつかの間の“笑劇場”。
「最終日のプレーが出来なかったことは残念ですが、手作り感があって凄く楽しかったし、ギャラリーのみなさんが、喜んでくれたのなら嬉しい」と“舞台”から降りてきた石川は、そのあとまたクラブハウスの前で、いつまでたっても途切れない人の波に延々とペンを走らせた。
「こういった残念な形になってしまったときでも今日、来て良かったと思ってもらうにはどうすればいいか。勇太さんが考えてくださったこと。ファンあってのツアーなので。今日は選手会にとってのチャレンジだったと思う。やれることは、すべてやれたのではないかと思う」と石川も、嬉しそうに振り返った。

依然として金庚泰 (キムキョンテ)が独走する賞金レースにおいても大事なこの1戦が、54ホールの競技短縮となってしまったのは、池田にとっても非常に痛いが、「集大成の年にする」と決めた3期目の選手会長職も、いよいよクライマックスが近づいている。賞金ランク2位の池田をはじめ、選手らはみな一丸となって残り3戦も、ますます全力でひた走る。

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