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関西オープンゴルフ選手権競技 2015

360ヤードを記録!! W・リーが首位タイ浮上

これでもまだ、本気で振っていないというから畏れ入る。「W・リー」こと「ウォンジョン・リー」。「今日一番のショット」は3番ホールだ。563ヤードのパー5は「あれは、良いあたりでした」と飛ばしに飛ばして、なんと360ヤード・・・!!
わずか182ヤードの2打目は軽く6番アイアンで、「バンカーに入れた」と2オンこそ失敗したが、2番から2ホール続くパー5で楽々連続バーディを奪って涼しい顔。
「今日は、持てる力を全部出し切ってラウンド出来た」と、堂々の首位タイ浮上だ。

初日から同じ組で回る大堀裕次郎とは今年、チャレンジトーナメントでも一緒に戦っており、いずれも常識では収まりきれない飛ばし屋同士も、「彼とはどちらかがうまく打ってても、どちらかがミスをする。かみ合わなくて、なかなか競争にならないんだけど、当たればお互い良い勝負が出来るんじゃないかな」と、コースでも楽しげだ。

韓国で生まれ、4歳で両親とともにオーストラリアに移住。1995年に豪国籍を取得した韓国系オーストラリア人は、アマチュア時代から知る人ぞ知る大型選手だった。
祖父の影響で、15歳から本格的にゴルフを始め、その後わずか5年で頭角を現した。ベストアマに輝いた2005年の日本オープンでは190センチの長身から繰り出す豪打は、衝撃的ですらあった。

その翌年にプロ転向を果たすと、2007年から米二部ツアーのウェブドットコムツアーに参戦。一部昇格を目指して奮闘を続けていたリーの右腕に、突然激しい痛みが走ったのは2010年。

リーの説明によると、腕にある主要な骨の2本の長さが生まれつき違っていて、競技生活を続けるうちに軟骨が摩耗して、長いほうの骨が短い骨の神経に障るようになっていた。
「手術をするとかなり大がりになると言われて」。だましだましプレーを続けていたが、とうとう限界が来た。「2013年から丸2年はまったくゴルフが出来なくなって」。
韓国で治療につとめ、やっとクラブが握れるまでに回復したのが昨年だった。

復活の足がかりを日本ツアーに求めて、昨年のQTを再受験。ファイナルQTはランク6位で出場権を取り戻した。
「いつかはまたアメリカで、とは思っていますけど。日本は僕がプロ転向を果たした思い出のツアーですし、今はとにかくここで結果を出すことに集中したい」。

ここしばらくは痛みが引いているはいうものの、右腕にいまだ爆弾を抱えていることは変わりなく、いつ再発するかも分からない。「大事を取って、前みたいにしゃかりきには振っていない」とはいえ、もともと破格の豪打は今でもはるかに、常識を超えている。

米時代に一緒に戦っていた友人と、2013年に賭けをしたのだそうだ。日本ツアーのQTでサード落ちを喫した際に、「もうだめかもしれない・・・」とつぶやいた。そのときツィートしてきたのがジェームス・ニティーズという選手で「君の引退に、100ドル賭けるよ」。
ムキになって「僕は引退しないに100ドル!!」。
そんなやりとりを、懐かしそうに思い返して「とりあえず、賭けは僕の勝ちだね」。日本ツアーでみごと花を咲かせて、あのときの友人の鼻をいっそう明かす。

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