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第11回西宮市小学生スナッグゴルフ大会を開催(8月18日)

3年生、4年生、5年生、6年生の各部門のベスト3にはメダルのほかに、各スポンサーから嬉しい賞品も!!今年は阪神南青少年本部から特別賞も贈られた。

宿題もそろそろ仕上げにかかる頃。子どもたちには、今年も夏休みのとっておきの思い出となった。8月18日の火曜日に行われた「西宮市小学生スナッグゴルフ大会」は、スナッグゴルフの草分け的な大会である。

2005年に、第1回が行われた時こそまだスナッグゴルフの認知度はゼロに等しく、参加児童を集めるだけでもひと苦労したものだが、昨年から晴れて市民体育大会のひとつに組み込まれることとなり、11回目を迎えた今年は定員110余人に対して200人を超える応募者が殺到して、70余人にやむなくお断りの通知をしたほどだ。

西宮市民中央運動公園で、6月から4度の合同練習を重ねて晴れてこの日の本番を迎えた。会場は普段、関西セレブのお忍びラウンドで賑わう屈指の名門。兵庫県の西宮カントリー倶楽部は、大人でさえ門をくぐる際には背筋が伸びる。
コースの多大なご厚意により、休場日のこの日ばかりは子どもたちだけの天国であっても、守るべき伝統と規律というものがある。

段上西小6年生の佐幸田勝大(さこうたかつひろ)くんの選手宣誓で幕を開けた開会式で、続けて挨拶に立った田中章博・一般財団法人西宮市体育協会会長の厳しい声が飛んだ。
「タオルを首から掛けている子。外しなさい」。
朝からぴりっとした空気の中で、一時期を思えば暑さも少しはましにはなったといっても、まだまだ厳しい残暑についダレがちなスタート前の打撃練習を、この人が引き締めた。

大会では5年前からツアーメンバーが駆けつけ、開幕セレモニーのデモンストレーションで豪打を披露してきた。今年のゲストプロは、地元・関西オープンで1勝をあげている井上忠久。司会進行をつとめてくださった指導員の石川敬史さんの言われるがままに繰り出した。220ヤード先のネットを優に超えるドライバーショットや左右器用に打ち分けるショートアイアンなど、プロの技でひとしきり子どもたちの歓声を浴びたあと、子どもたちのウォーミングアップを兼ねた続くレッスン会では一見いかつい風貌にしては(?!)意外な才能を発揮した。

大阪府出身の39歳は得意げに「これでも子どもの扱いだけは、慣れてるねん」。分かりよく、的を得たアドバイスに、たちまち快打で応じる子どもたち。「ええやん!」「ナ〜イスショ〜ット!」と言ってトレードマークのビッグスマイル。よく通る井上の大きな声は、子どもたちの胸にも心地よく響く。憧れのプロゴルファーから褒められキラキラ目を輝かす。1番、17番、18番に設置された特設コースでまもなく始まる実戦に向けて、特に最終学年となる6年生の子たちには、いっそう気合いが入った。

ゴルフ人口の減少が叫ばれているいま、「出来るだけ多くの子どもたちに興味を持ってもらい、ふれあうきっかけを増やし、夢を与えてやることが僕らプロゴルファーの使命」という井上は、この日も喜々として駆けつけ大会への協力を惜しまなかった。近頃は肝心のツアー出場のほうはとんとご無沙汰気味だがそのかわりに目下、井上がライフワークにしているのはジュニア育成。3年前に、地元堺市内で開いたインドア練習場「井上忠久ゴルフスクール」は、月2回をジュニアに無料で開放。今は20人のレッスン生を抱えて、それはそれで忙しい日々を送っている。

来月には、ジュニア大会に参加する長男のキャディも務める予定で、担がれるのは慣れていても、「自分が誰かのバッグを担ぐのは初体験。いちいちプレー中にも子どもにうるさく言ってしまわんか。自分でも心配や」と、すでに今から「せっかく家にも練習場を作ってやったんだから。もっと練習しろ」とか「プロゴルファーの息子なんだから。70台で回ってもらんと俺の顔が立たん」とか、小言の絶えない二児の父。

たとえ他人の子であっても手を抜くということを知らず、真剣勝負の5,6年生にはアドバイス禁止だが、まだまだ指導が必要な3,4年生にはやれ、「ランチャーの方向を合わせて」だとか、「最後までボールをしっかり見て打ちや」とか、懇切丁寧な指導はさすが、自身のスクールにもスナッグゴルフのコーチングセットを常備して、普段から教え慣れている“井上先生”ならではだ。

大会主催の西宮市ゴルフ協会の芦田通夫・会長は「過去10年の参加者の追跡調査をしていないので」と話されていたが風の頼りによると、どうやら今年の女子プロテストに挑戦する今大会の“出身者”もいるようだ。
「この中から将来、僕らと一緒に戦う子たちも出てきてくれればいいよね」と、ジャパンゴルフツアーを代表して参加した井上も、目を輝かす。実現すれば芦田会長をはじめ、この日も暑い中を子どもたちのプレーについてスコアをつけてくださったり、指導に当たってくださった60余人のボランティアのみなさんの労も報われる。中には、子どもたちのためにと広島からわざわざ駆けつけてくださった方もいらっしゃるそうで、そんな協会のみなさんのご尽力には、このほど兵庫県の阪神南青少年本部から、これまでの開催10年の貢献を称えて表彰状も贈られたという。
各共催と後援、各協賛社の皆さんのご協力もあって、今年も一人のけが人も出さず、上ヶ原病院の髙島敦子・看護師さんのご指導のもと、熱中症で倒れる子もなく無事、11回大会も幕を閉じた。
最終学年の6年生の部では、段上西小学校の小林竜也くんが30ストロークという見事なスコアで優勝を飾ったが、表彰式で司会をつとめられた実行副委員長の上田昭義さんも強く願われたように、「これから中学校に行っても、高校生になっても、みなさんにはぜひゴルフを続けていってもらいたい」。
今大会から羽ばたいた子たちが、この先も見事に成長をとげて嬉しい報告を届けてくれることを、大人たちは首を長くして待っている。
今後のゴルフ界の未来を背負って立つみんな。頑張れ・・・・・・!!

  • ちかごろ試合はご無沙汰でも、豪打は相変わらず!井上のデモショットで11回大会は幕を開けた
  • スタート前の練習では熱血指導のみならず、自ら率先してボールを拾って歩くなど、子どもたちのお手本になる井上(右端)
  • 子どもたちと一緒にコースに出て、激励に回る。井上の元気な声に、子どもたちも暑さが吹き飛ぶ
  • 競技終了はあっという間に子どもたちに囲まれてサイン会。笑顔でペンを走らせる井上

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