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日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ Shishido Hills 2015

選手会長が「ここでは執念深く戦ったヤツが勝つ」

3打目勝負の長い池越えの17番パー4で、2メートルのパーパット。「入った、と思ったのが、最後にすっと曲がった。今日のゴルフを象徴している」と池田勇太。前ホールのボギーにちょっぴり浮かない表情で、上がってきた最後の18番は、今度は3メートルのバーディチャンスもわずかに外して、「今日はカップに嫌われる1日」。

15番では288ヤードから、スプーンで2オンした10メートルのイーグルトライも本当に、あとほんの少しで逃したりツキもなく、今ひとつかみ合わないが「ここでは執念深く戦ったヤツが勝つ」。嫌というほど分かっている。

4日間ともひとつの試練もなしに、逃げ切れるコースではない。
最初の洗礼は、デビューして2年目の2009年だった。「すげー昔のことだけど。俺が初めて勝ちかけたのがこの大会」。3日目に単独首位に立ち、意気揚々と挑んだ最終日。
「確か俺、あのときえらい一杯打ったよな」と、思い出して苦笑い。78回叩いた。16位タイまで落ちた。23歳の記憶。まだ“若大将”と呼ばれていたころ。泣きたいほど悔しかったこともはっきりと覚えているが、「そうそう、でも、その翌週に勝ったんだ」とニッコリ。
次の日本プロで完全優勝のツアー初V。だから、この2試合は今も忘れもしない。

そして、今大会は2012年にも大学の後輩の藤本佳則と優勝争いを繰り広げながら敗れただけに、因縁は深い。後輩をあと一息まで追い詰めながら、「15番でアクシデントがあった。左にぶちこんで、もったいないことをしたんだ」とダブルボギーの失態を思い出して、また苦笑した。

昨年は日本オープンを制して、2つめのタイトルを手に入れた。決勝ラウンドを前に、首位とは4打差。3つめのメジャー獲りもにらめる位置に、「それはまあ・・・あと何十年もチャンスはあるから」と、そこは煙に巻きながら「難しいセッティングだから、やる気はある。コースと最後まで向かい合う」。選手会長は、執念深く戦う。

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