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日本プロゴルフ選手権大会 日清カップヌードル杯 2015
プロ7年目の小林伸太郎が64をマーク、12位タイ浮上
同じ“チャレンジ組”の副田裕斗(そえだゆうと)と2サムのトップスタートから、一気にリーダーボードを駆け上がる。
「・・・いえいえ、僕のことなんか。忘れてください。どうせ今日終わるころには下のほう」と、やにわに注目を集めて本人は尻込みしたが、スタートの58位タイから46人抜きの64は、みごとであった。
ひやりとしたのは、この日最後の18番くらい。池越えの2打目で「逃げすぎた」と、右に乗っただけのバーディパットは、2メートルも残ったが、堅く沈めた。
「今日は良いパットがイメージどおりに入ってくれた」と、13番では3メートルのイーグルチャンスも逃さない。
史上初、ファン投票によって決めたピン位置は、16番パー3も、記念すべき最初のバーディが小林だ。「右奥のピンはフェードヒッターの僕には狙いやすかった」と、8番アイアンの「べたピン」でファンからの挑戦にも打ち勝った。
律儀で素直な性格は、目上の人から可愛がられる。10歳からゴルフを始め、名門・東北福祉大では池田勇太の1年後輩。日本ジュニアや、日本アマ覇者。2010年には「日本プロゴルフ新人選手権大会」で優勝。将来を嘱望されながら、厳しい世界に「プロになった途端に芽が出なくて」。伸び悩む小林に、声をかけてくれたのが所属先の「焼き鳥まさや」。
関西と関東に店舗を展開する家田秀海社長がシード権が取れるまで、面倒みてやると約束してくれた。
日本ゴルフツアー機構(JGTO)の理事で、ツアー通算16勝の鈴木規夫には、3年前からスタートしたJGTO主催の宮崎合宿をきっかけに教えを乞うようになり、「低い球の打ち方を、教えてもらった」。
また、今大会主催の公益社団法人日本プロゴルフ協会の植田浩史副会長には、「以前、コースマネジメントのコツを教えていただいて」。さらに今週、バッグを担ぐのは、水巻善典プロの専属キャディとあらば、「“レジェンド”のみなさんには大変お世話になっています」。蒼々たる面々に、頭を下げずにいられない。
QTは、実に7度目の挑戦で昨年、ようやくファイナルのランク7位につけた。デビューから7年目にして今年、自身初の本格参戦も、ここまでこぎ着けたのもそのたまものと、感謝しきりの28歳。「早くシードを獲ることが、何よりの恩返しだと思うので」。
最終日も恩人の声援を背に、さらなる飛躍を目指す。