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“マー君”は、今年も世界を股にかける・・・!!

メジャーリーグの田中将大選手にも負けず劣らず、ゴルフ界のマー君にとっても昨季は、怒濤の1年となった。一昨年の「アジアパシフィック パナソニックオープン」で初優勝を飾り、シード権を獲得したアジアンツアー。「ゴルフをして世界中を旅するのが小さい頃からの夢だった」と喜々として、日本との掛け持ち参戦に臨んだ2014年。

世界十数カ国を巡る旅は、21歳が想像していたよりも、過酷な日々の連続だった。なんといっても苦労したのは、日本ツアーとのスケジュール調整だった。
いや昨年の川村は、出られるだけ試合に出るというスタンスで戦っていたから、調整というよりも、過密スケジュールに追われるつらさといったらいいだろうか。

「なにしろ初めての経験でしたので。自分がどれだけやれるのかも分からない。というか、自分はいったいどれだけやれるのか?」。昨年は、まずは挑戦の年。

毎週のように国境を超える旅の連続は、特にシーズン終盤がつらかった。ディフェンディングチャンピオンとして、いったん帰国した「アジアパシフィック ダイヤモンドカップゴルフ」は、「めまいがして、足もふらふら」。それでも連覇を狙った同大会は、大会主催の三菱商事とスポンサー契約を結んだばかりの“ホストプロ”として、執念の決勝ラウンドに進出して「今思えばあの状態で、自分でもよくやれたもんだな、と」。
一昨年に痛めた左手首に加えて、昨季は胸部と肋骨辺りに痛みを抱えて、クラブを構えただけで、息も出来ないほどの苦しさを感じたことも。

11月のインドネシアオープンでは高熱を出し、体調不良をこらえてコースに立った。いよいよ「ドバイオープン」で、今季の“最終戦”を戦い終えた直後は「もうしばらくゴルフはしたくない」。辟易として、帰国したのもつかの間、それから数日と経たずに「もう、次のラウンドが待ち遠しくなっていた」。ゴルフの申し子は自らの、尽きせぬゴルフ愛に気付いて、安堵した。「俺ってけっこう立ち直りも早かったんだ」とそんな自己発見も嬉しくて、体はつらかったが、精神的な逞しさは著しく増したと自覚できたことも、大きな収穫となった。

このオフは、昨季の反省を踏まえて、体力作りに励む日々。新年早々から、都内お台場に足繁く通う。ツアーに帯同するフィットネスカー「プレジャー」の“本拠地”で、弱点強化のメニューに精を出す。今年もまた、旅から旅の毎日に備えて汗を流す。

過密スケジュールの転戦は、それは確かにつらかったけれども、ゴルフをしながら世界中を巡る旅にはそれを上回る喜びがあった。「ろくに言葉も喋れないくせに誘われて、いろんな国の選手とご飯を食べたり、日本では、まず経験できないようなコースでゴルフができる面白さ」。

そこには日本だけにとどまっていては、まず味わえないような感動があった。特に、9月にスイスであったアジアと欧州ツアー共催の「オメガ欧州マスターズ」は格別だった。14歳のときに出場した、フランスでのジュニアの大会。ちょうど今月18日に最終日を迎えた米ツアーのソニーオープンで、2日目に首位タイにつけたジャスティン・トーマスを押さえて、川村が優勝を飾った思い出のジュニア試合は川村が、欧州ツアーへの憧れを抱くきっかけとなった大会でもあった。
「あれから7年をかけて、僕はここに来れたのだな、と。自分なりに、前に進んでいるんだと、実感出来た。大会の雰囲気も素晴らしくて母と、キャディをしてくれた父と。家族みんなにとっても、すごく良い記念になったと思う」と、あのときの思い出は、いま振り返ってもつい陶然としてしまうほどである。

今年もまた、あんな感動を味わいたいから、川村は旅をやめられない。冒頭の写真は、川村が提供してくれたもので、各地で出来るだけ記念の写真を撮りだめするようにしているという川村にとっては「去年のベストショット」というほどお気に入りの1枚は、12月のドバイオープンでの試合後のひとコマだ。

右は塚田好宣。やはり、旅から旅の毎日を愛し、自らを「ゴルファートラベラー」と称する先輩とはウマが合う。「ゴルフ場と、コースをストイックにひたすら往復するのもありだけど。僕は、せっかく来たのだから。ゴルフだけではもったいないというタイプ」。その地の文化や世界遺産をたずねて回り、見識を広げたい。「そういう点でも塚田さんとはカブる部分が多くて」と、この日もこのあと一緒に、世界一の超高層ビル「ブルジュ・ハリファ」を訪れ“頂上”を目指したのだという。

青春真っ只中の21歳、川村昌弘。「僕はまだまだ子どもだけれど。これからも、旅から旅の生活を謳歌しながらますます人生経験を広げてその中で、結果がついてくれれば最高です」。今季は、日本で次の2勝目を目指すとともに、まずはアジアで1勝。欧州でも1勝。「場所も国も問わずに、ひたすら優勝を目指して頑張る」。ゴルフ界のマー君は、今年も世界を股にかけて戦う。

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