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青木功が伝達式に出席(11月10日)

世界のアオキは、今だに恐縮していた。そして、戸惑っていた。「こういうものを、自分がもらえるとは思っていなかったし、自分がもらっていいものかどうか」。
2015年秋の叙勲で、スポーツ分野における旭日小綬章を受章した青木功。
11月10日に、国立劇場で行われた伝達式に出席した。そして天皇陛下に拝謁したあと、都内で記者会見に応じた。「これに恥じないように・・・と言っても、どうしたら良いかわからないし、今まで通りやるしかないんだろう。それがかえって、青木功というものを出せるんだろう」。

男子ゴルフとしては1991年の安田幸吉氏(勲三等瑞宝章)と1993年の中村寅吉氏(勲四等旭日小綬章)に続く、3人目の叙勲。「その仲間に入れたというのは凄く嬉しい」。ジワジワと、こみ上げてくる喜びを噛みしめる。
以前、ゴルフを共にしたこともあるという天皇陛下。「今日は目と目があって、ちょっと微笑んでくださったんじゃないかって。思い出してくださったのならいいのにな、って勝手に自己満足で帰ってきました」と、いっそう笑みを深くした。

「自分一人でもらえたとは思っていない」。
関係者や、お祝いに駆けつけた報道陣にむかって「みなさんの応援と助けがあって、もらえた」と、頭を下げた。「ゴルフバカで、それ一筋でやってきた。わがままを通してきた。みなさんも、それに目をつぶってきてくれたんでしょう?」と、照れ笑いで会場を見渡した。

そして、その中でも誰よりも、感謝したい人を会見場に呼び入れた。「いるんでしょう? お母さん、入っておいでよ、早く」。そして、自らの胸の勲章を外して、「これは半分は、女房の首にかけてあげたい」。
40有余年、連れ添ったチエ夫人。「愛妻です。キスでもしたいくらい」。勲章を着物の帯につけてやりながら、「ケンカもしたし、口うるさくも言われたけれど。俺に尽くしてくれたし、彼女が言わなくていいようなことも、俺のためにかぶってくれた」と、夫人への愛で満ちあふれた。

米ツアーで、アプローチの不振に陥った夫に、カゴ一杯のボールを持ってきて「打ちなさい」と命じたというチエさん。「口はうるさくないわよ」と、わざとちょっぴり拗ねてみせながら「他にも凄く努力した方がいらっしゃるのに正直、うちの主人でいいのかなって」。
夫人も恐縮しながら「でもね、この人は器用じゃないですけど、ゴルフに関しては、本当にまじめに生きてきた。私も功さんと一緒になったときに、後悔しないようにと、いろんなことを求めずに、彼が好きなことを好きなだけやればいい、と思って、口はうるさかったと思います」。
可笑しそうに夫を見上げて「男の人が、女房のいうことをきくというのは、プライドもあるし大変。でも“うるせえなあ”と言いながらも、聞いてくれたのには感謝しています」。

“レジェンド夫婦”が揃ってハレのヒに、世界のアオキが改めて、生涯現役を誓った。
「欲張りが強くてまだやってるから、いつ辞めるんでかって聞かないで。ゴルフが出来なくなる時は、必ず来る。だけど、あのときああしていれば良かったとか後悔はしたくない。自分で行けるだけ行きます」。伝説はまだまだ続く。

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