記事

ゴルフ日本シリーズJTカップ 2015

石川遼が最終日を前に、2位と3打差つける猛攻

ムービングサタデーの“遼劇場”はスタートホールでまさかの「フォア〜」から始まった。ドライバーで打ったティショットは右へ。先週のカシオワールドオープンでも足踏みしたのは3日目。よぎる不吉な予感も、この日の石川はあっさりと吹き飛ばしてみせた。

右ラフからの2打目を確実にグリーンに乗せて、無難にパーで切り抜けると、そこからあとは「好調」と自認するアイアンで、ことごとくピンに絡めた。
「先週は3日目4日目に、消極的でした」と、韓国の黄重坤(ハンジュンゴン)に悲願のホストVを奪われた前週のゴルフを猛省して挑んだ今週。

改めてテーマに掲げた「攻めのゴルフ」で、14番から怒濤の4連続も含めて、この日奪った10個のバーディは、ギネス記録の58をマークした、2010年の中日クラウンズで12個を奪って以来となる1ラウンド2桁のバーディ数で、自身初の日本と名のつくタイトルに王手をかけた。

「今日は風がなくコントロールしやすかったですけど、置きに行くようなことはせずに振り切りました」と、最後まで強気の姿勢を崩さなかった。

このシーズン最終戦で、真冬の東京よみうりを熱くしたいと言った。有言実行のこの日のゴルフはコースのあちこちで、ギャラリーを湧かせながらも石川は、「盛り上がり的には今ひとつかなあ、と・・・」。
物足りなさの原因は「自分が思っていたよりも、お客さんが少ない。今までだったら土曜日でも1万人を超えて、日曜日なら1万5千人くらい」。

スタジアム風になった18番のパー3は、17番ホールからでもはっきりと、そうと分かるほどの黒山の人だかりに圧倒されて石川も、初出場を果たした2008年から毎回、その光景には陶然としてきたものだ。
「今日もたくさんの方に見に来て頂いて嬉しいです」と心からの感謝も、それでも数年前とつい比べて、「これが現状なのかな・・・」。24歳は、いよいよ最終日を前に考える顔になった。

「自分も含めて、これが日本の男子ツアーの現状なんだと。自分も含めてもっともっとレベルの高い試合を見せていかなければいけないんだ、と。お客さんが、一番分かってらっしゃるんだと思う。それが数字に出ているんだと思う」。

人気回復のためにはどうすればいいのか。新たなファン獲得の方策はあるのか。会場に来られないお客さんにも最終日は、日本テレビで中継予定の15時から16時55分の間にテレビの前で、熱くなってもらうには・・・。
「やっぱり、ファンを第一に考えることが大事」と、いま男子ゴルフを取り巻く危機感が、最終日の石川をますます震い立たせる。
「だから明日は、そういう意味でも精一杯にやりたい」。このシーズン最終戦で、自身初の日本タイトルをにらむ一方で、そんな思いで頭をいっぱいにしている石川だ。

 

関連記事