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マイナビABCチャンピオンシップゴルフトーナメント 2012

横尾要が「僕らはそういう世代なんです」

ひとつ上の1打差の単独2位につけるのは、昨日も今日も前向きなコメントが一切出てこなかった宮本勝昌。横尾とは日大同期だ。もうひとり、片山晋呉を加えて大学時代はその圧倒的な強さをして「3強」とか「三羽ガラス」とか呼ばれた。

もっとさかのぼればジュニアのころから、ずっと同じ時代を生きてきた。
だから横尾には、宮本の気持ちがよく分かる。

「勝昌もそうですけど言えないんです、僕らは。人前で『明日は優勝します』とか。そんな前向きなコメントは言えない。そういう世代なんですよ」。

体育会系という言葉はもはや、死語だろうか。
いまの若手をみていると、横尾はつくづくとそう思う。
上下関係について厳しく言われてきた世代は、先輩を差し置いて闘志をむき出すことは、御法度だった。
特に横尾は上に川岸良兼や、丸山茂樹らスターが君臨していた時代に、むしろ自分の気持ちを抑えるほうが多かった。

「うらやましいですよ、今の子たちは。明日は勝つとか今日は調子がいいとか、遠慮なしに言うでしょう」。
以前にも、横尾はそう言ったものだ。
今もその思いは変わらない。
だから自分も言わない。
「明日は優勝します、だなんて。そんな気持ちもないですしね」。

体調不良も手伝っている。
今週は水曜日に突然の発熱に、前日の金曜日は一番ピークでひどいガラガラ声。
「今日は昨日よりもましだけど、まだ喉がおかしい」。

頭も少し朦朧として、ABCゴルフ倶楽部の高速グリーンも「ぼけ〜っとしてるからよく分からない」と鈍感に。
この日は14番からの3連続バーディで、一気に順位を上げてきたのに、「あれ、そうだったっけ?」と、それさえも自覚がない。

2打差の3位タイ浮上も「ちょうど風邪で力が抜けているからいいんじゃない? ケガの功名」と、宮本と同様に、自虐気味に力なく笑った。

思いがけず加わった同級生との最終日最終組も「いや、ないですよ。ないつもりでやりますよ。それであったらラッキーでしょう」。6年ぶりのツアー通算6勝目の可能性も、自ら打ち消す始末だった。

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