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2016年の宮崎合宿が閉会

孫4人・・・・・・?!
今週も64歳を囲んで、若さが弾けた。これからのゴルフ界をしょって立つであろう、若い力が今年も宮崎に集結した。昨年に引き続いて日本高等学校ゴルフ連盟(高ゴ連)の協力を得て行われたJGTO主催の宮崎合宿。今年も、プロに混じってのべ12人の高校生が切磋琢磨した。
この中から次の東京で、日の丸を背負って立つ選手が誕生するだろうか。
合宿の総責任者で、オリンピックゴルフ競技対策本部強化委員会委員もつとめるJGTO理事の鈴木規夫の期待も、ひそかに高まる。

サブタイトルに「オリンピックを目指して」と掲げた「JGTOゴルフ強化セミナーin宮崎フェニックス・シーガイア・リゾート」は、2013年の開始から、4年に一度のオリンピックイヤーに、ちょうど4年目を迎えた。

そして今年は1月からスタートした。今年も1回につき5日間、計3度の実施は2月19日にいよいよその“最終日”を迎えた。この日も試合形式で行われたフェニックスカントリークラブでのラウンド実戦で、みごと有終の美を飾ったのは昨年のファイナルQTランク99位の大野由真(おおのゆうま)。

廣戸聡一先生監修のトレーニングは今年、プール実習が新たに加わるるなど、年々厳しさを増していく。「正直、昨日まで筋肉痛がひどくて」。前日の18日には、厳しい実習の合間にNHKアナウンサーの秋山浩志氏による講義「インタビュー法」で伝授された。「飾らなくてもいい、自分の思ったことを簡潔に、かつ心をこめて話そう」とのアドバイスを合宿の閉会式を兼ねた表彰式でも無駄にせず、大野は実直な喜びと感謝の気持ちを伝えた。
「この状態で、まさか優勝できるとは思わず。このような機会を与えてくださったスポンサーや、関係者のみなさんに感謝して、今年はチャンスがある限り頑張っていこうと思います!」。

今回の5日間で、良い味(?!)を出していた選手を鈴木が選んで贈られる「規夫賞」は、ちょっとトボケた20歳、池村寛世(いけむらともよ)。地元鹿児島県の特産芋「紅はるか」の栽培農家の長男は昨夏の「RIZAP KBCオーガスタ」で池田勇太とV争いを繰り広げて、その片鱗を見せつけた。今年はチャレンジトーナメントの賞金ランク3位の資格で、ツアー前半期の出場権を獲得してさらなる飛躍を目指すと誓った。「今回ここで学んだことを、開幕までに調整して頑張っていこうと思います!」。

今年も、廣戸先生の講義を軸に、多彩な講師陣をお迎えしてゴルフの技術向上とともに、特に若手の豊かな人間形成を目指したこの宮崎合宿だが、2月15日から始まった今年の3回目は、初日に教鞭をとってくださったスポーツジャーナリストの島村俊治氏をはじめ、講師陣の誰もが参加者の中にこの選手の顔を見つけて「若手の中にも、ベテランの選手が今年もこの合宿に、新しい発見を求めて来られていることに、敬意を表する。若手選手との良いコミュニケーションも期待できる」(島村氏)。
それぞれに表現こそ違えど、常に各講義の“話題の的”であった42歳の横田真一。
今なお夢を追い求め、弾ける若さに混じってひょうひょうと汗を流す。今年の選手副会長の存在感にはそれもまた味があり、3回目の合宿もぴりりと引き締まったものとなった。

また、この最終回に参加してくれた高校生4人。若原亮太さん(岐阜聖徳学園2年)と坂本雄介さん(埼玉栄高2年)と芹澤慈眼さん(秀岳館1年)、そして阪根竜之介さん(国士舘高2年)も、またイイ味出していて、先の秋山アナウンサーはAON時代から様々なトッププレーヤーを見て来られたベテランの嗅覚で、「彼にはオーラの卵みたいのを感じる。いずれ、大化けするかもしれない」と、その将来性に大いに期待を寄せられている。

特別協賛のセガサミーグループと協賛のデサント、またスポーツ庁から後援を受けるなど、今年も本当に、さまざまなスポンサーや関係者のみなさまに支えられ、恒例の宮崎合宿はひとまず無事、閉会した。
今夏もまた、宮崎合宿の“1日凝縮版”も各地で行う予定だが、ひとまず解散・・・・・!
これからそれぞれの開幕に向けて、選手たちには孤独な日々が始まる。各回24人を定員に実施したこの宮崎合宿では周囲の目もありいくらキツくてもある程度の抑止力が効くが、この先は個々の自覚と精神力が問われる。これからが本当の勝負である。

「自分の中の最高を目指せ」と、鈴木。「自分の最高を目指して、家族や応援してくれる人たち。自分の周りの人たちを、幸せにしてあげて欲しい」。そして、その反面で「最低も想定するように」。一流は、強烈なプラス思考の反面、強烈なマイナス思考も持ち合わせているものである。「君たちも、グリーン周りや林の中など最低の条件を想定した練習を重ねて欲しい。その練習の中から気づくことがたくさんある」と合宿最終日の総括で、鈴木は説いた。それと、朝夕の日課としてランニングのススメ。「孤独な中で、いろいろな反省も出てくる。走ることは、自分を見つめ直すという意味でも良い機会」と促して、参加者たちを送り出した。

18日に、この宮崎合宿で教鞭をとってくださった高ゴルフ連の井上尚彦理事長は、「プロで活躍されている皆さんに僕からこんなことを言うのは僭越なんですが」と恐縮しつつ、参加者たちの心に響く洒落た言葉を贈ってくださった。
「“ノーブレスオブリージュ”」と、ホワイトボードに書いて「フランスのことわざです。みなさんは、特別な才能があって、プロになられた方々で、それだけですでに社会的地位がある。僕からあえてこのことわざの意味は申しませんから興味がある方は、ご自身で調べてみてください」。
ツアープレーヤーとしての誇りを持ち、技術と精神の向上を目指していくのはもちろんのこと、この世界で社会的な恩恵を受けたからにはそれに対する感謝とともに、還元していこうとする意志と、努力を忘れないで欲しいとは、この合宿に関わった大人たちの、ささやかな願いのひとつでもある。
  • 優勝を飾った大野。和牛日本一!「宮崎牛のロースト&ひれ7キロ」を食べて頑張れ!
  • 模擬インタビューに挑む池村。本番で予行演習をぜひ生かせ・・・!!
  • 選手副会長の横田は2年連続の参加。夢を追い続けるベテランの姿を若手に見せた。
  • 井上理事長から贈られたことわざもぜひ、検索を・・・!!

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