今週は、自身初の2週連続Vがかかっているといっても、まだ復帰3戦目である。「今日の後半の上がり3ホールは体力、精神的にもきつかった」。

16番のパー3は2メートルのパーセーブにガッツポーズを握ったが、そもそもティショットはグリーンの端に乗っただけ。
「このあたりから、頭が回らなくなっていた」。
17番のパー5は、最初はレイアップと決めていたにもかかわらず、いざティに立つと「あわよくば2オン」と、判断力も欠いていた。高いティアップでドライバーを振り切ったが「体がついてこなかった」。強気な攻めとは裏腹に、ティショットは大きく右へ。OBボギーを打った。
最後の18番も、ティショットを右のバンカーのアゴ近くに打ち込んだ。仕方なく刻んで、3打目も寄せられずに連続ボギーで5位タイに沈んだ。

スタートで躓いた前日2日目に続いて、この日も序盤は出入りの激しいゴルフが復帰間もない石川には堪えた。
「8番の3パットなんかも、ボディーブローのように効いてくる」。
取り返すためには相当の体力、集中力を要する。

2月から、半年も試合を空けていなければこなせるものも、「まだ慣れていない部分がある」。まして先週は、初日から首位を走り続ける完全優勝の消耗は、かなりのものには違いない。

中盤は6番や、14番のチップインバーディで懸命に応戦した石川だったが、「最後はへばった上がりだった」と認めざるをえなかった。
「昨日と今日と、山と谷が大きくて、体力精神力を100としたら、4日間で25ずつ使う計算だけど、すでに100近くを使い切った感覚がある」と、上がった直後は表情にも疲労の色が、濃くにじんでいた。

「今日は自分だけ、コースが難しく感じたというのは、状態が良くないこと。苦しいラウンドでした」と、厳しい表情で報道陣に応えていた石川の顔が、やにわにパッと明るくなった。
質問に答えながら、スコアボードとこの日のホールアウト順を数えていてハっとした。「明日はひょっとして、キョンテとラス前？」。最終日は、大好きな金庚泰（キムキョンテ）と最終組の一つ前で回れると分かって、みるみる血色が戻っていった。

「これからのリカバリーは、体力とマインドの部分になるけどキョンテと一緒なら、楽しみだしワクワクする。精神的にもキョンテがいることで、支えになる」と、たちまち目が輝く。
「キョンテと一緒に前の組からどんどん盛り上げていきたい。それを含めて楽しめる最終日になる。前半を終わって3打差まで詰められれば」。
尊敬するライバルと一緒なら、5打差の大逆転だって実現できるかもしれない。

• 石川 遼
• 金 庚泰