記事

中日クラウンズ 2003

『彼らより先に勝てたことにもホっとした』同期の近藤、後輩の宮里らに一歩リードの初Vに星野英正は格別の思い

苦しい時期も乗り越えて、昨年、賞金ランク52位で初シード入りを果たして迎えた今シーズン。星野はひとまわりもふたまわりも、逞しさを増していた。
自分の中に閉じこもりがちだったデビュー当時の日々を返上し、「自分の中の扉を開いた」(星野)。
同じダンロップ契約選手の片山ら、トップレベルたちと積極的に交流をはかり、良いと思うものはどんどん吸収していった。

後ろ向きなコメントが多かった2年前とくらべて最近では、
「ショットがピンにしか行かない気がする」
「ひとつ勝てれば、あとはいくつでもいけそうな気がしている」
「僕ら若手選手がツアーを引っ張るつもりで頑張る」
などと、威勢の良いセリフもポンポン、飛び出すまでになっていた。
会場を歩く姿勢ひとつとっても、「昨年までと、胸のはり方が違うんですよ」。
開幕当初から神戸のメディカル学院で肉体改造に励み、今週は、コーチの江連忠に指導をあおいで、スィングのヒントを得てレベルアップのための課題に取り組んでいた矢先だった。
「おまえは、日本でプレーしている選手じゃない。早く勝って世界へ飛び出せ」との江連からのゲキも効いている。
「ようやく1勝した今年は、海外挑戦も視野に入れたい。まずは全英オープンを目指してみたい」 “眠れる大器”が、ようやく目覚めたのだ。
デビュー当時から同学年の近藤智弘と何かと比較されることが多く、その近藤には初シード入りも一歩、先んじられて「気にしない、と思いながらも負けたくない気持ちで一杯だった」と打ち明ける。
今年は、東北福祉大の後輩、宮里優作もツアーデビューした。同じく後輩の谷原秀人も、めきめきと頭角を現して、下からの突き上げも、痛いほどに感じていた。
それだけに、「彼らより、先に優勝できたことにホっとした」。プレー後に、その宮里、谷原らの胴上げを受けて宙を舞った星野には、また格別の思いがあっただろう。
写真=東北福祉大の後輩である谷原秀人や宮里優作ほか友人たちが、18番ホールで待ち受けて祝福の胴上げ。「星野さんの優勝は僕としても嬉しいけれど、先を越された、という思いもある。
最近、若手選手が勝っていないので、励みになるというか、さらに自分もやる気が出てきた、という感じです」谷原秀人
「星野さんが東北福祉大出身のツアーチャンピオン第一号、嬉しいですね。ツアーでまた、良い目標ができました」宮里優作

関連記事