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今年5部門で頂点に輝いた伊沢利光

最優秀選手賞、賞金ランキング賞、バーディ率賞、平均ストローク賞、そして各部門 の総合ポイントで算出されるUnisysポイントランキング賞と、主要な部門別ランキン グで1位を独占した伊沢は、しかし今年の結果には「40点」と厳しい自己採点を下した。

初の賞金王に輝いた一昨年前は、「無我夢中で狙っていって」年間5勝をあげること ができた。「成績だけで見れば2001年を100として、2勝しかできなかった今年は40ぐ らいと評価せざるをえない」というのが本人の言い分だ。
もっとも、成績以外の面では、そこに上乗せできる点数もある。

昨年は、未勝利に終わった悔しさと屈辱を、味わった。世界でも通用するスウィング 作りをテーマに、今年はプロコーチの江連忠との正式契約を結んで共同作業を続けてきた。

完成、とはまだ言い切れないものの、7月には2週連続優勝も飾れた。

滋賀県・比叡山延暦寺の大阿闍梨、酒井雄哉(ゆうさい)師や、マネージャーの浮世 憲治さん、8年来のキャディ・前村直昭さんら仲間の力も借りながら、歴代の賞金王 という重圧を乗り越えて精神的にもたくましさを増した。「今年、ベスト10入りが妥 当」と考えていた賞金ランキング。嬉しい誤算で、2度目の頂点につけることができ た。

「成績だけでなく、技術面、精神面を加えて点数をつけるならば、6、・・・70点つ けて もいいかもしれません」。

今年、試合中の態度に緊張感が足りないとメディアに指摘され、ショックを受けた時 期もある。しかし、いつもは柔らかな話し方をする選手が、このときばかりは語気を 強めた。「阿闍梨さんが教えてくださったように、勝ち負けは神様が決めること。常 に優勝ばかりを意識しないよう、自分が打つその瞬間以外には、キャディと談笑したり、できるだけリラックスしておくのが僕のやり方と決めたんです」。のんびりした ように見せているが、わが道を貫く頑固な面もある。
現在、世界ランキング52位。トップ50への返り咲きまであと一歩だ。
「これからもっともっと新しいスウィングに慣らして、次の3度目の賞金王は、ぜひ 満点に近い点数で獲ってみたい。世界の舞台でも、もっともっと優勝争いを演じてい きたい」。10日、東京全日空ホテルで開催されたジャパンゴルフツアー表彰式の壇上 でまばゆいライトを浴びながら、新たな夢を誓った伊沢。その翌11日には受賞の報告に、恩人でもある大阿闍梨、酒井師のもとへと向かった。

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