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コカ・コーラ東海クラシック 2008

マンデートーナメントからの参戦、池田勇太が首位タイ浮上

今の流行に逆行するようなゴルフウェア。真っ白なスリータックのスラックス姿は、とても22歳とは思えない。昨年、プロ転向したばかりの新人が独自のスタイルを貫いて、三好の18番ホールを自身初の首位で堂々と闊歩した。

前半こそボギーが先行したが、後半に4つ伸して68。通算6アンダーに、「良いパーを拾っていけたし、自分としては納得している次第です」。
自身初の共同会見も、どこか無骨な受け答えがもはやベテランプロの風格すら漂わせる。

憧れの選手はジャンボ尾崎だ。ゴルフを始めた6歳のころから憧れだった。
「テレビをつけたら、毎週勝ってるんだから。あれがプロ。俺もああなりたい」。
少年のころに強烈に胸に焼き付いた思いは、今も変わらない。

風が吹くとダボダボと、音もたてんばかりに膨らむパンツも、そのファッションを継承しているからこそ。
「俺にとってのゴルフは、このイメージしかない。このスタイルは絶対に変えない。この格好を貫き通して、いつか世界に出て行くんだ」。

8月のツアー外競技の関西オープンでは、石川遼に4打差2位に敗れた。
「僕もいいゴルフをしたと思うけど、遼くんがその上を行ったというだけ。遼くんは凄いよ」と、素直に褒める一方で、その立場を気遣った。
17歳の高校生プロは「きっと街でも囲まれてかわいそう。俺なんて、17歳のときは遊んでたもん」。

かくいう池田も、自身も進学とプロに迷ったこともあったが「僕は大学に行って、ほんとうに良かったと思っている」。東北福祉大で積んだ人生経験は、「世間を知ることができたから」と振り返る。

ナショナルチーム入りし、国旗を背負う重圧も体験した。
「大学では、看板を背負うというプレッシャーもあった」。

世界ジュニア優勝、日本ジュニア連覇。日本オープンのローアマ2回・・・。
数々のタイトルを手にし、いつしか「勝って当たり前」と言われたアマチュア時代。

日本オープンで2度のベストアマなど、トーナメントでも結果を残したが、「プロのみなさんに失礼のないように、という遠慮もあったから」。

しかし、鳴り物入りのデビュー後はすべて一からのスタートだ。
すべてのしがらみが消えたことで「あのころより楽にゴルフが出来ている」という。

「若干1年坊主ではありますが」と一応は謙虚さを見せつつ、いっさいの遠慮もなく「プロは結果がすべて自分に返る。金が稼げる」と、言ってのける。

ルーキーイヤーの今季はツアーの出場権こそないが、主戦場のチャレンジトーナメント「エバーライフカップ」でプロ初優勝。そのほか2位が3回、5位が1回あり、同トーナメント最終戦「PRGR CUP FINAL」を残して現在賞金ランクは首位とわずか2万5988円差の2位につける。

来期の出場権はほぼ手中におさめ、次に欲しいのはもちろんツアー初優勝だ。
「そら、常日頃から狙ってます」。
ホストプロの石川は三好を去ったが、マンデートーナメントから勝ち上がったジャンボの後継者候補が、週末を盛り上げる。

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