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ISPSハンダマッチプレー選手権(1回戦・2回戦) 2018
石川遼は実はマッチプレーが・・・
世界ゴルフ選手権も含めて国内外で、百戦錬磨のはずだが石川遼はしかし、マッチプレー競技は実は「苦手」という。
「今回は、決勝まで行ったとして7回ですか・・・」。
全118マッチを抱える巨大ピラミッドも単純に言うなら7選手に勝てば、優勝出来る計算だが、それだからこその難しさがあると石川は考える。
「マッチプレーは優勝争いを、毎日している感覚になっていくので。4日間の組み立てじゃなくて、1日18ホールで決着するので。何が起きるかまったく分からないですし、そこらへんの戦い方が、一貫していないと難しい・・・」。
相手次第であることだけに、5アンダーを出しても負ける場合もあれば、2オーバーでも勝てることもある。
予測不能の激レース。
「テニスであれば、第1シードや第2シードの選手が決勝で当たるというのはよくありますけど、ゴルフでは、ほぼほぼそれはない。ただでさえ順当にいくことがないのにましてマッチプレーなんて、それより何倍も予想できない。逆にいうとストロークプレーよりも全員にチャンスがある」。
思い起こすのは、全盛期に見せたタイガー・ウッズのマッチプレーでの破格の強さだ。
「圧倒的な強さがないと、マッチプレーで期待どおりの結果を残すのが難しい」。
それを、常にやってのけていたのが、2000年代のウッズであった。しかし、石川も先週の全英オープンをライブで見たが、当時の圧倒的な強さは残念ながらなかった。
「あの長いブランクから、あそこまで戻ってきたというのはものすごいことだと思う。でもみんな過去の栄光を知っているので。う。でも後半、優勝の意識が入ってきたときに、バタついた。20年前のタイガーなら絶対になかったんだろうな、と。タイガーを目指してゴルフを始めた僕らの世代が今は、メジャーで優勝する時代になってきて、タイガーに対して追いつけ追い越せやっている。今のタイガーになら勝てると思っている選手が増えてきている。それが嬉しい反面、ちょっと寂しさ・・・みたいな」。
ウッズのサンデーチャージに胸を躍らせながらも一方で、石川は日本でそんなふうに先週の優勝争いを見つめていた。
そして、そんな歴史的な一場面を肌身で感じられる場所に、自分も居合わせられなかったことを心底、残念に思った。
「一緒に回ったヒデキや、決勝ラウンドに進んだ小平さん。すごくいい組で回っているんで・・・羨ましいな」。
自分もまた、同じ舞台でやりたい。
今シーズンは、いったん撤退するしかなかった米ツアー。
「自分もただあそこに戻るだけじゃなくて、さらにその上を目指して頑張りたいな」。
石川もまた、復活への大きな足がかりをつけるためにも苦手だの、なんだのと言ってられない。
今大会の舞台が、地元埼玉県であることでも気合いが入る。
ここ鳩山カントリークラブは、ジュニア時代は敷居が高くて「回ったのはまだ今日で2回目。バミューダの硬いグリーンは下りだと、今までの日本のツアーの中でも1番の速さかもしれない」という難コースも自宅から、すいていれば車で1時間半。
「プロになって、埼玉で勝ったことがないので。勇太さんみたいに地元で勝てたりしたら、やっぱり格別だろう、と。埼玉での試合は少ないので、少ないチャンスをモノにしたい」。
優勝賞金5200万円の頂点へ。選手会長もまずそのはじめの第一歩を踏み出す。