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ダンロップ・スリクソン福島オープン 2018
石川と並んで挑む初V!! 首位タイの山岡成稔(やまおかなるとし)
イーグルを奪うなど、きっちり首位を守って上がってきたのに、18番グリーン上での公開インタビューには、後からコソコソ加わった。
「いや、だって・・・。あれは入りにくいでしょう!!」。
山岡がスコアカードを出している間に、“お立ち台”ではすでに先に上がった石川と香妻が、観衆を盛り上げていた。この日、62と60を出した渦中の2人。
「そこに俺なんかが入ったら・・・。おまえ誰なの?と思われたと思う」とQT組の山岡が、恐縮するのも無理はない。
2人に比べてまだまだ無名の自分。
「去年1年は、本当に1試合も出られなかったから」。
デビューしてすぐの2015年から2年続けて本格参戦を果たしていただけに、その落差はなおさらだった。
一昨年のQTはサード落ちを喫して「こんなにも、きれいに試合に出られなくなるんだ、と。これがスポーツの世界なんだ、と思った。自分の甘さが分かった」とその間に、同期のプロたちは次々と、シード入りを実現させて余計にへこんだ。
「試合に出られるありがたみが分かった」と昨年は、嫌でも頭を垂れた1年だった。
稼ぎ場を求めたアジアンツアーも、同二部のADTツアーの資格を獲るのが精一杯だった。
「勝っても100万円前後。5位で遠征費はトントン」というシビアな環境でも「出られるだけでもまだいい。そこに試合があるなら行くしかない」。
果敢に飛び出したはいいが昨年2月には、マレーシアで起きた例の暗殺事件とニアミス。
犯行現場ではなかったものの、あの日山岡もあの空港に降り立ち「到着ゲートについた後、行き先に迷って(事件が起こった)搭乗口のほうにも行った。ぞっとした。二度と行きたくない・・・」。
そんな命の危険と隣り合わせの現場を経験すれば、嫌でも逞しさも出てくる。
3打差の7位には、堀川未来夢。日大時代に主将、副将でしのぎを削った親友も、今年はすでにシード2年目。
大量アンダーが続出したこの日のスコアボードも「堀川いるやんって、今日は9個って、すごいなって」。ひしめく中でも真っ先に、見つけて発奮したのも彼の名前だ。
「同級生が通用するのだから。自分もやれないことはない」とそこは力に帰るとこ。
大学同期や年齢の近い選手たちと、いつかみんなで一緒に優勝争いしたいねと話し合ったこともある。
「明日の最終日最終組こそ自分には、初めての経験。不安だけど、明日こそ本当に、自分のやるべきことをやるだけです」。
最終日は20代の選手がひしめいて、仲間みんなの夢は、確実に現実に近づいている。