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三井住友VISA太平洋マスターズ 2020
主催者、地元の熱意に支えられ。選手一丸で、富士のすそ野を賑わせる
今年、48回目を迎える伝統の一戦。コロナ禍でも途切れることなく、歴史は紡がれる。
背景の一端には、JGTO会長・青木功の直願があった。
11日に行われた事前会見で、大会会長の大西幸彦・三井住友カード代表取締役社長が明かした。
青木が、選手副会長で同事務局長の池田勇太を伴い、大西社長を訪れたのは7月下旬。
突然の訪問に驚く大西社長に、「社長、開催お願いします!!」と、単刀直入に切り出し2人で頭を下げた。その際には、徹底した感染症対策も丁寧に説明し、安全な運営を確約したという。
ちょうど他トーナメント中止の発表が、相次いでいた時期。
厳しい判断に、迫られていた時で「当社もどうしようかなと思っていたのですが、青木さんのオーラに思い切り背中を押されて、今日に至りました。青木さんのおかげ」と、大西社長。
1月には、アジアと共同主管の「SMBCシンガポールオープン」でも、同社のグループ社にスポンサードをいただくご縁もあり、ご理解も深かった。
また、開催にあたっては、地元の賛同も不可欠だが、1977年の6回大会から会場となっている御殿場市には、毎年大会を楽しみにし、足を運んでくださる根強い地元ファン、さらには、御殿場市民が自らリーダーとなって運営される大会独自のボランティア団体が組織されるなど、もはや大会とは揺るぎようのない深い絆も結ばれている。
若林洋平・市長の快諾も得ることができて、実施の英断は下された。
もちろん、密が避けられない開幕前日恒例のプロアマチャリティトーナメントは中止。本戦も、無観客とはなったが数々のご尽力が重なり、いよいよ開幕の時を迎えた。
会見に同席した選手会長の時松隆光は改めて、この場で経緯の一部始終を拝聴して「僕ら選手たちは本当に恵まれている。大会を開催していただける有難さ、大会に出場できる喜びを、身にしみて感じました」と、厚く感謝を述べた。
大会では「新型コロナ対策支援チャリティ」を起ち上げ、選手たちもヤフーのネットオークションに、たくさんの愛用品を出品して、全面協力している。
時松はサイン入りのボールとグローブと、スパイクシューズを提供。
「ボールとグローブは試合で使ったものを出させていただきましたが、シューズは履いたのは、やっぱり匂いとか、アレかな…と思いまして。こちらは、新品をご用意させていただいた」と、時松なりの心を尽くした。
収益は、新型コロナ感染症対策支援として全国の医療従事者、開催地の御殿場市に寄付される。
「このような状況になってしまって、苦しんでいる方もいらっしゃる。大会を通じて、一丸となって協力していこうと団結しました。少しでも、お役にたてれば嬉しい」と、選手を代表して思いを伝えた。
そして、いよいよ本戦では、もちろん”本業”でアピールだ。
「ファンの皆さんはもちろんのこと、支えていただいているすべての方々に対して、常に感謝の気持ちを忘れることなく、この気持ちを、プレーや日ごろの立ち振る舞いでお伝えしたい」。
今年は静かな御殿場で、燃える紅葉にも負けない熱戦で応える。