記事
アジアパシフィック ダイヤモンドカップゴルフ 2016
ベテランのマンデー組! 桑原克典が「幸せ」
何の怖れもなくドライバーを振り抜き、何の躊躇もなくピンを狙える。何の制約もないゴルフが、どれほど心地よいか、思い知ったこの日の初日。
賞金シードを失って7年目の今年。ついに桑原は、来季の出場優先順位を決める予選会のQTは、先週16日まで4日間にわたって奈良柳生カントリークラブで行われたセカンドの会場にいて、予想外の展開に度肝を抜いていた。
出場114人中、2日間の予選通過を経て、上位40人が次のサードに進める狭き門は、「イーブンパーがボーダーラインになるだろう」との桑原の目算を、はるかに越えた。
通算6アンダーの“カットライン”に対して、桑原の12アンダーは22位に入るのがやっと。優勝スコアは20アンダーという、桑原にとっては異次元の世界に「今の若い子のすることは、理解できない」と、思わず嘆息するのも無理はなかった。
来年の生活権をかけたシビアな戦いに比べて、レギュラーツアーのこの開放感。
喜々として、2アンダーは13位タイと上々のスタートを切った。
今週は、マンデートーナメントからの挑戦も先週は、「QTのセカンドから挑戦したのも、今回が初めてでした」と、ツアー2勝のベテランには屈辱かと思われる現状も、「すごく幸せなことだ」と、桑原はいう。
桑原のような状況まで陥ると、「家族のこと、子どものこと、生活のこと。お金のことを考えると大半が、諦めざるを得なくなる」。本人には夢があっても、それを追いかけ続けるには周囲の理解が不可欠であり、「本当は追いかけたくても、追いかけられなくなった選手を僕もたくさん知っている」。
苦しい状況でも、ずっと頑張っていて凄いですねと近頃は、そんなふうに褒められることも増えたが「僕が凄いのではなく、恵まれているだけ」と、感謝の思いに絶えない。
挑戦し続けられるだけで、贅沢という思いが桑原を突き動かす。
「悩むことすら失礼だと思うので。100%で一生懸命にやるだけ。まだまだ体は動くし、僕には僕なりのゴルフで頑張り続けたい」。
力の限り走り続ける。