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昨季1勝で急上昇! 小鯛竜也の今年の展望
個人戦の賞金約80万円に、さらに100万円近くを上乗せして「完全に旅費が出た」。オフを利用して、はるばる絶景のニュージーランドに渡って、良いこと尽くしだ。
ペアにも恵まれた。
「一緒に回ったアマチュアの方が本当にお上手で」と本人も初日こそ、9アンダーの好スコアを出したが、2日目以降はチーム戦ではほぼ頼りきり。
「アマチュアの方のおかげで勝てた」と恐縮しきりでぜひお食事でもとお誘いしたのに「飛行機の時間がありますから」と、あっさりと立ち去られた。颯爽とした様子もまたイキに感じて、帰路の機上で感謝の気持ちは増すばかりだった。
このオフは、海外での実戦を増やした中でも、特に「凄い経験が出来たのは間違いない」と振り返るのは、なんといっても初挑戦の米ツアーだ。
主催者推薦を得て出場した1月のソニー・オープン・イン・ハワイは、初日75を打って打ちのめされた。「体力的にも精神的にも、自分が(米ツアーに)出るにはまだ、実力が足りなかった。緊張もあった」と完全に雰囲気にのまれた。
予選落ちはまぬかれずとも、2日目にはなんとか69を出して「普通にやれれば、自分にも出来る」と、少し自信を回復出来たがその足で、日亜共催のシンガポールとミャンマーに出てから帰国後のオフは、トレーニングにもますます熱が入った。
「次は実力で、米ツアーに挑戦したい」。
今季もホスト試合のミズノオープンや、日本ゴルフツアー選手権など日本ツアーにもメジャーや米ツアーの出場権につながる試合がいくつかある。
「今季はそれを狙って行きたい」と、大きな目標が出来た。
2007年のプロ転向から、小鯛を近くで見てきた同じミズノの手嶋や武藤も「小鯛は本当にマジメでストイック」と口を揃える。取り組む姿勢はニュージーランドでも相変わらず、旅行気分に浸ることもなく、試合中もジムに通って体力強化につとめるなど「成果が実感出来た」と、4月の国内開幕戦に向けて、着々と仕上がりを見せている。
このあと、地元関西で調整を続けながら、3月第4週は丸々宮崎で過ごす。武藤の“推薦”もあり、初めて谷口徹の恒例の合宿に加えてもらえることになったのだ。
「今までは畏れ多くて声をかけることもできなかった」と遠慮があったが、昨年10月のマイナビABCチャンピオンシップでのツアー初Vをきっかけに、オフの取り組みも格段に変わった。
「賞金王になられているし、勝つときの雰囲気などアマチュアの時から注目して見ていた。勝負にこだわる姿勢なども学びたい」と、今から“谷口塾”への入塾を楽しみにしている。
1学年下の石川とはプロ同期。小平智は同い年だ。同世代にスター選手がひしめく中で、存在感を増したい今季。
昨季の1勝を機に、地元の練習場でも声をかけられることが増えた。「これ良かったら飲んでください」と、ドリンクなどを差し入れに、打席の後ろからじっとスイングを注視されるのはくすぐったいが、地元ファンの視線をますます集めるためにも「今季は2勝、3勝。複数回優勝できるように頑張ります!」。
さらなる飛躍を誓った成績と共に、スタイリッシュなコスチュームが今年も楽しみだ。