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父、歓喜。18歳の竹内優騎が2位タイ
コロナ禍初の有観客試合で、歓声に応えて高々と手を掲げたのは、むしろお父さんのほうだった。
「息子が頑張ってくれたことが嬉しくて、つい…」と、照れた。
「僕はただ、バッグを担いで隣を歩いていただけですど、いやあ、楽しかった!」と、本人より喜び一杯。
4打差の7位タイから出た最終日は、再三のピンチも親子でこらえた。
18番ではティショットを大きく右に曲げ、木の根元の2打目はフェアウェイに出すだけと、最後のトラブルも、パーでしのいで歓喜した。
息子の好成績を今回は、キャディで支えた父・宏さんは、国際A級のライセンスを持つ元バイクレーサー。
5つ上の兄と共に、優騎にも跡を継がせるつもりで、まず幼少期のテレビゲームでレース感を、と計画したそうだが「自転車に乗れるようになったら、隣の垣根や畑に突っ込みケガをして帰ってくる。ゲームのイメージのまま、走ろうとするんですね。危ないったらない」と、断念。
レーサー引退後に宏さんがゴルフのレッスン業に転向したこともあり、優騎にもクラブを持たせて教え込んだら、ジュニアの試合で再三優勝。
才能をのぞかせた。
宏さんも、ツアープロを目指して幾度かQTに挑戦したそうだが、セカンドどまり。
だが、優騎は2018年のプロテストで16歳と20日の史上最年少合格を達成。同年のツアーQTではファイナルまで進み、父親をあっさりと超えてきた。
コロナ禍の今年、トレーニングに励ませた分だけ体も大きく、力もついた。
かわりにショットの距離感に狂いがでて、主戦場のAbemaTVツアーは今年、開催4戦中2戦で予選落ちを喫して、ちょうど強制に取り組んでいたところ。
そのさなかの好順位に今度の方向性も見えてきた。
目下、スイング指導は、宏さんの師匠でもあるプロゴルファーの鈴村照男氏に任せているそうだが、まだ運転免許を持たない息子の試合会場への送迎役など、A級ライセンスの運転さばきでもうしばらく支えていく。
「賞金王になりたい、なんて僕に言うんですが、そんなふうに子どもが頑張っている姿をそばで見られるだけでも楽しいですね」と宏さん。
レーサー時代とはまた違ったスリルと感動を味わっている。
※お父さんは、画数を気にしてレーサー時代の「高」から「宏」に改名されたそうです。