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飛距離だけじゃない!! 額賀辰徳が3年ぶり5度目の飛ばし屋日本一で得た境地

全国大会で一緒になったみんな…!! これからも僕らと一緒に夢を目指してがんばっていこうね
今年は7月に、福島県で行われたスナッグゴルフの全国大会で、ツアープロで結成されたドリームチームでも大活躍。成績集計を待つ合間の余興でも子どもたちに豪打を披露し、拍手喝さいを浴びた。

今季、3年ぶりに飛ばし屋日本一の称号を獲り返した額賀。
本人には思いもよらない奪還だった。
自身5度目のドライビングディスタンス1位(平均302.93ヤード)に「自分もまだまだ“距離やれんだな”って。なんか“獲れちゃったな”っていう…。今までとは全然違う感じの受賞になりました」。

JGTO会長の青木功から受け取った5個目の記念トロフィーには今までとはまた違った重みがあった。
「若いときには狙って獲ったものでしたが」。
今年34歳。
「ケアをしても、背中の張りや痛みが完全には取れなくなった」。
若さに任せた20代のようにはいかなくなった。
昨年、怪物並みの飛距離で話題になったチャン・キムが今年はずっと戦線離脱したままでもじゃあ俺が、という気持にもなれなかった。

今季は契約先が変わって、いちからのクラブ選びも「飛距離というよりは、方向性重視で」。
年齢を経て、持ち味へのこだわりももはや稀薄。
いよいよ終盤戦には歩くのも困難なほどの腰痛を発症すればなおさら、再び飛距離で日本一になる自信などなかったという。

完全無欲の称号奪還…!!
そしてそこにはこちらもまた、思ってもみなかったビッグなおまけがついてきた。
先輩プロに「日本のケプカ」と呼ばれても、11年と16年には2度目のシード陥落をしたまま。
迎えた今季は、チャレンジトーナメント(現AbemaTVツアー)の賞金ランク7位の資格で復活に賭けた。
しかし、11月を過ぎても賞金ランキングはボーダー線の上位65人にも程遠い90番台。「飛距離がむしろ足を引っ張っているんじゃないか…」と悲観した時期もあったが、歓喜の瞬間はふいに訪れた。

11月の三井住友VISA太平洋マスターズで今季13人目の初V者として、飛距離との両立を成功させた。
プロ13年目の飛ばし屋が、やっと頂点をつかんで改めて、痛感したのは「飛距離とは、あくまで安定感が出てこそ生きてくるものなんだ、と」。
飛距離にこだわり格闘して、打ちのめされて、それでも挑み続けてたどり着いた境地であった。

今まで年末は、ぎりぎりまで来季の出場権に奔走することも多かったが今年は家族と過ごす、穏やかな年の瀬。
「応援してくれる人が、喜んでくれることが何よりのモチベーション。初優勝の収穫は、それが一番」と、しみじみと「このオフも、地道にトレーニングや日常的なものをしっかりとやって、技術と体力面と精神面と、うまく底上げして来季もしっかりと、足元をみてやっていきたい」。
屈指の飛ばし屋は、来季もまた誰よりも遠く飛ばしながらもいっそうの、足場固めに取り組む構えだ。
  • 部門別表彰のジャパンゴルフツアー表彰式。レッドカーペットでエア豪打を披露!!
  • 応援してくれる人たちが喜んでくれたことが、一番うれしかった…!!

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