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AOも感服「ありがとう、ミスター!!」男子ゴルフから、感謝と敬意をこめてvol.2
ツアー通算94勝のジャンボこと、尾崎将司は64年春の選抜で徳島県立海南高校のエースとして、初出場初Vを達成した元高校球児だ。
その翌年から67年までプロ野球の西鉄ライオンズでも活躍。
元野球人として、かねてよりミスターに心酔するジャンボが、今でもボールや車のナンバーなど、日常で使うありとあらゆる数字をミスターの背番号「3」に統一しているのは、有名な話だ。
憧れの人と、久々の再会が実現したのはミスターのお名前を、タイトルに冠することになって2年目の08年大会。
7年ほど前に、大のゴルフ好きでもあるミスターが、ジャンボの合宿地を訪れる機会があったそうだが、ミスターが大病をされてからは、これが初対面だった。
自身も、腰痛の持病を抱えながら、その年初の決勝ラウンド進出を決めたジャンボは、最終日のプレーを終えると、ミスターがおられる観戦テントに直行。
その姿を確認すると、くしゃくしゃの笑顔になった。
逸る気持ちを抑えるように、いったん、距離を保って立ち止まった。
背筋を伸ばして敬礼。
腰を折った姿勢のまま、なだれ込むように歩み寄り、両手でその手を包み込んだ。
ミスターへの思いがあふれた。
会場のザ・ノースカントリーゴルフクラブ(北海道)で歴史に残る2ショット。
「腰は、どうなの?」と、ジャンボを気遣われたミスター。
「もう少しです」。はにかむようにジャンボは答えた。
ほんの数分ではあったが濃密な時間。
それから二言三言、言葉を交わすと最後に再び深々と腰を折り、名残り惜しげにその場を辞したジャンボ。
「ほんとうに、久しぶりにお会いすることができた」と、感無量だった。
16年大会ではその年、JGTO会長に就任したばかりの青木功がミスターと、貴重な時間を過ごした。
最終日の1番ティで行われたスタートセレモニーで席を並べ、コースに出ていく選手たちを共に見送り激励した。
ミスターの全盛期には、口をきくことさえ緊張したという青木。
「それが、今では隣に座らせてもらったり、気安く喋らせてもらったりしている。私も年を取ってきて、少しは認めていただけるようになったのかなと思う」としみじみと、「長嶋さんにはこれだけ長く、大会を支えていただき改めて、私も先輩を見習って、出来ることは何でもやっていきたいと思います」。
JGTO会長として、まい進を誓った貴重な一コマ。
ゴルフ界のレジェンドたちをも奮い立たせるミスターの存在感。
07年に大会を支援してくださるようになってから、選手たちに与えてきたその影響力は、計り知れない。
今年は残念ながら、お会いできないからこそ、なおさらその偉大な功績を改めて思う夏である。
※今週、開催予定だった国内男子ゴルフの「長嶋茂雄 INVITATIONAL セガサミーカップ」はミスターのお名前をタイトルに冠してから14年目(大会は16年目)を迎えましたが、今年は新型コロナウィルスの影響で開催中止に。
今年は、会場でお会いできないかわりに名シーンを振り返り、ミスターへの感謝と敬意を表します。