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ANAオープンゴルフトーナメント 2019
初体験のプレーオフで、史上最多の5人を経験。嘉数光倫が自己ベストの2位
「経験したことなかったし、5分の一の勝負。チャンピオンは一人だけ」。
初めて挑むいちかばちかの大勝負に戸惑いながらも、嘉数は逃げなかった。
ティショットを左の林に入れたが、2打目はあえて狙いにくい左側から攻めた。
4番目に打った嘉数に対して、すでにノリスと浅地がバーディチャンスにつけていた。
ひとまず右側に打って確実にパー狙い、というルートもあったが
「バーディを獲らないと、負ける。迷わずリスキーな左側を選んで打った」と、選択肢に安全策はなかった。
結果、2打目はグリーンの奥へ。3打目のアプローチは下り傾斜を伝って手前側のラフへ。そこから奥4メートルにやっと乗せたがもはや、勝ち目はなかった。
シード1年目の今季、序盤は予選落ちが続いたが、スイングを変え、課題のパッティングに取り組み、「先週からすべてが徐々によくなって、どんどん向上している」。
手応えをつかみかけた矢先に迎えた大チャンス。
5分の一の生き残りをかけたシビアな勝負に、「4人みんなで負けた感。悔しいですね。でも一番悔しいのは、自分のミスで負けたこと。僕はバーディチャンスにつけて、戦うことができなかった」。
負けた4人の中でも最も不利な負け方には歯噛みをしたが、自己ベストの2位タイだ。
「自信になる。これからの自分にかなり期待ができます」。
沖縄県名護市に生まれ、父・森勇さんの手ほどきで、9歳からゴルフを始めた。女子プロの諸見里しのぶさんや、比嘉真美子さんらも学んだ森勇さん運営のゴルフアカデミーでは、楽しくプレーすることがモットーだった。
受け継ぐ息子もいつまでもくよくよしない。
「試合はこれだけではない。また頑張ります。期待してください!」。明るく言った。