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三井住友VISA太平洋マスターズ 2016
18番ではイーグル! 松山英樹が単独首位発進
同組で回った大学の先輩。「調子が良さそうに見えないのに、素晴らしいですね」と、谷原。
やはり先輩の優作も「練習ラウンドでは悪くても、ちゃんと試合までに合わせてくる。調整の仕方が実に上手い」と、うなった。
18番は、段の上の左端奥のピンに向かって残り227ヤードの2打目で、4番アイアンを振り抜いた。何食わぬ顔で3メートルにつけた。
「あのピン位置で、イーグルを獲っちゃうんだから」と、優作も目を剥いた。
3週前の米ツアーは気温30度のマレーシアで、2位に入った。
優勝した世界ゴルフ選手権は中国でも20度以上はあった。
この日初日の気温は正午で9度。午後からは、さらに下がる一方だった。
久しぶりの日本の冬に、前半かじかむ手を持てあましてネックウォーマーを手袋がわりに、腕に巻くシーンもあった。
「寒いから、飛ぶのか飛ばないのか。わからないまま打ったらたまたまついた」と、逡巡しながらスタートの10番では2打目が入りかけ。さらに11番では連続バーディで出ていった。
「今日は風で飛んでいるのか、日が出て暖かくて飛んでいるのか。最後まで、わからないままプレーしていてそんな中でもうまく対応することができたかな」と、同組の3人の中でも誰よりも遠くに飛ばし、誰よりたくさんバーディを取って上がってきた。
この日ともに回ったのは谷原と、もう一人は大学の後輩だった。現役3年生の比嘉一貴(ひがかずき)さん。
まだアマチュアが、ビッグネームに挟まれ「最初のほうは、テンパっているように見えた」と気にかけ、「緊張しているのか」と聞いても「別に」と後輩のつれない返事には、苦笑しながら13番では比嘉さんの初バーディに、自分のことのように嬉しそうな笑みを浮かべた。
3年ぶりの御殿場は、2011年には現役2年のときに倉本、石川に継ぐ史上3人目のアマVを飾った思い出のトーナメントでもある。
比嘉さんと、当時の自分と重ねて「プロになって、アマと回るのはこれが初めて。不思議な感じがありました」と、あれから5年を経て、破竹の成長をとげたいま、改めて思うのは「大学に行って良かった」。
米ツアーでどれほどの活躍をとげても、こうしてたまに帰ればこの日のように、東北福祉大の出身者と3人顔をそろえて大ギャラリーを引っ張れば、しみじみと「大学のつながりを感じる」。
上には、目下賞金レースを引っ張る谷原や池田を筆頭に、いまツアーにひしめく大学出身の蒼々たる面々と、さらにその後に脈々と続く者たち。
「一貴がまた下の子たちを連れてきて、谷原さんや僕と回ったり。また新しいつながりが出てくる」。そんな絆も、充実した大学生活を送ってこそ。「最終学年でプロになりましたが、3年間はアマでやって良かったな、と」。
意外にも、アマプロ通して初日を首位でスタートしたのは初。世界ランク7位には、懐かしい学生時代にも思いを馳せる1日となった。