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2015年度のチャレンジの星!! 森本雄(もりもとゆう)も、再び宮崎から羽ばたけ
「腹筋には少し来ていますが、下半身はまったくですね」。今年は、筋肉痛とはほぼ無縁でいられる。むしろ、笑顔さえこぼれるくらいに余力を持って、取り組める。
「今年から、プールでのトレーニングも始まって、陸でやる動きを同じように、水の中でやる。陸でやるよりもずっとキツいはキツいのですが、それでも去年よりもつらくない」。今年のチャレンジの星は、逞しいのだ。
10歳でゴルフを始めた。宮里藍さんや藤本佳則を輩出した名門・東北高校で、全国高等学校ゴルフ選手権を制するなど自信をつけて、卒業と同時にプロ転向を果たした際に、森本にはひとつ、心に決めたことがあった。
「25歳までに成績が出ないなら、諦める」。その最終年が昨年だった。デビューから5年目。当初から、トレーニングに取り組んで、その素地は出来ているという自覚はあった。
「でも、試合ではあと一歩のところで結果が出せない。あとちょっと足りない部分は一体何なのか」。昨年のこの宮崎合宿でも、自らに課した崖っぷちに立たされて、懸命に答えを探していた。
今年ダメなら後がないという状況下で、森本は地元愛知県のジム「ワイズスポーツ」の門を叩く。個々にもともと生まれついた体の動きを取り戻して、鍛え直すというユニークな体幹トレーニング法は、この宮崎合宿で廣戸先生が提唱する「4スタンス理論」とも重なる部分がありそうで、抵抗なく取り入れることが出来た。
「ショットの軸も、ぶれなくなりそれほど調子が良いとはいえない時でもスコアをまとめられたり、今までは外していた勝負どころのパットも決めきれるようになった」。あともう一つ、何かが足りないと、自覚していた穴も埋まった。
「オフに取り組んできたことが、実を結んだと思う」。瀬戸際の2015年は、主戦場のチャレンジトーナメントでひとつ、大きな成果を残した。
近年、まれに見る大接戦のまま迎えたシーズン最終戦の「JGTO Novil FINAL」では、ドラマチックな大どんでん返しが待っていた。同い年のライバル、秋吉翔太との約4万円差を逆転して、2999円の僅差で“王座”をつかんだ森本だ。
なんとかギリギリ間に合った。「25歳でダメだったら」と、誰より自分自身と交わした約束を果たして森本は、新たな春を迎えた。
一昨年の“賞金王”の今平周吾は今年、難なく初シード入りを果たした。
「でも僕は、1位になれたといっても、圧倒的に勝ったわけじゃない。これからも引き続き、ますますの努力が必要です」と、2015年のチャレンジの星は、謙虚にまた今年も、宮崎で、仲間と共に汗を流している。
「今年は今までやってきたことの再確認と、去年1年やってきて、ここは本当などうなのかなと疑問だった部分を解決したくてここに来ました」と、講師陣にも積極的に質問をぶつけて、さらなるレベルアップを計る日々。
合宿2日目にあたる前日の19日には“マムシの極意”も伝授された。特別講師で駆けつけたレジェンドだ。「直道さんには、厳しい場面でこそ積極的に行け、と。今までは、無難にパーで、と考えていた場面で、攻めていくことをやってみろ、と。今年はそういうゴルフにも、挑戦してみようと思います」。
自身3度目の宮崎から帰ったら、休む間もなくシンガポールへ。今季1年間のシーズンチケットを手に、今季はさっそく“初戦”の海外2連戦。「SMBCシンガポールオープン」と「レオパレス21ミャンマーオープン」で、さっそくジョーの金言を試す場面が来るといい。