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マンシングウェアオープンKSBカップ 2007

木場本猛「練習場の名前を売りたい」

今月2日に、ここ東児が丘マリンヒルズゴルフクラブで行われた予選会で2位につけ、本戦突破を果たした木場本が好スタートだ。

先週の日本プロ2日目に87を打った。「プロ入り後の自己ワーストスコア」に、ひどく落ち込んで自宅に帰ったら、父・裕靖さんに冷たく言われた。
「練習もせんのに、上手くなるもんか」。

この言葉に気持ちを入れ替えた。
「ジュニア時代に戻った心境」で、先週末は「1日最低300球」。
裕靖さんから課せられたノルマをこなして迎えた今季2戦目で、さっそく痛感させられた。
「練習に勝るもんはない」。
一進一退を繰り返した前半のインコースから一転、アウトでボギーなしの5アンダーをマークして、改めて父の言葉を噛み締めたという。

名門・日体大出身。
1年上に細川和彦、同期には平塚哲二がいるが、卒業時はプロの世界に興味がなかった。
父親の家業を手伝いながら、アマチュアとして活動していた。

転機が訪れたのはその3年後だった。
日本アママッチプレーで2位、日本オープンでセカンドアマ。
たて続けに2位に甘んじたことで、火が点いた。
「プロになって1位になろう」。
研修生として一からスタートし、翌97年にプロテストに合格した。
ファイナルQTの資格で、ようやく本格参戦を果たしたのは昨シーズン。
しかしシード権には遠く及ばず、出場優先順位を決めるクォリファイングトーナメントにも失敗し、今季は出場権がない。

試合のない週は“支配人”を務める。
裕靖さんが2年半前に会社を売却して、地元・兵庫県西宮市に、「西宮名塩ゴルフセンター」を開いた。
跡を継いだ木場本は、朝3時半に起きて掃除、ティアップ機のメンテナンス・・・。

昼間は、いざ練習しようと準備を始めたら、スタッフに呼び出される。
「支配人、機械の調子が悪いんです」。そのたびに、打席に駆けつける。

売り上げの集計もひと苦労だ。
いざパソコンの前に座っても、「ワードもエクセルも、ちんぷんかんぷん」。
いまだに上手に扱えない。「パソコンの前で、僕がフリーズしてる」と笑う。

「目の前に練習場」という恵まれた環境も、両立はなかなか難しいようだ。
むしろ「試合に出ているほうが楽なくらい」と、木場本は言う。
「練習場は年中無休。有難いことに、そっちのほうが忙しくて。朝はゆっくり寝れるし、僕にとっては、トーナメントのほうが休みみたいなものなんです」。

今週、2週連続で取れた貴重な“休日”は、有効に使いたい。
このまま上位に踏みとどまって「練習場の名前を売りたい」。
支配人自ら、宣伝に一役買う。

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