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比嘉一貴がコロナ禍の新婚初V(ISPS HANDA コロナに喝!! チャリティーレギュラー最終日)
ここは、福島県いわき市。奥州三関といわれる勿来(なこそ)の関跡が、コース近くにある。
歴史の舞台で、武将に変身した夫の雄姿を見守る新婚妻の手には、しっかりとウィニングボールが握られている。
これで2個目だが、昨夏のツアー初V時はまだ交際中だった。
「結婚してから初めての優勝です」と、今年1月に入籍したばかりの明恵さん。
比嘉一貴が嬉しい新婚初Vを、妻の目前で勝ち取り喜んだ。
2打差の単独首位から出た最終日。
明恵さんは、自宅のある都内から早朝5時始発の特急で駆け付けたそうだ。
「嫁のほうが興奮して、昨日は2時間しか寝られなかった、と。期待されているな、負けられない」と、夫も気合十分。
途中、後続4人に並ばれる場面もあったが、再び2打差で迎えた18番パー5では、2打目を右に大きく曲げる大ピンチで、崖下からピン3メートルにパーオン。
「2パットでも、優勝なんですけど、締め方は大事かな、と。最後は、しっかり入れたかった」。
3差をつけるバーディ締めで、コロナ禍初の有観客試合を盛り上げた。
「久しぶりに歓声を聞けて、これが早く続けばいい、と」。
この日は、1808人のギャラリーが駆けつけ、声援の有難みに、早期の終息を願う気持をいっそう強くした。
中止が相次ぐ男子ゴルフの今年の窮状。
「今までは、試合があるのが普通と思っていた。コロナで、当たり前でないことに、改めて気づかされました」。
救いの手を差し伸べてくださった、主催者への感謝も増した。
3日間競技のエキシビション大会のため、賞金ランキングへの加算はないが、値千金のV賞金1000万円を獲得。うち10%が、チャリティされるが「もっと寄附していただいてもいいくらい。大変なこの時期に、高額賞金をいただいた。大事に、使わせていただきます」と、頭を下げた。
来月の9、10日には、再びISPS主催の男子とシニアと女子のチャリティ混合戦に出場。
さらに、その翌週には「三井住友VISA太平洋マスターズ(12ー15日)」と「ダンロップフェニックス(19ー22日)」で、男子ゴルフは今季初の2週連戦。
「やっと続けて試合ができる」。
主催者が贈る優勝兜に込められたメッセージは「勝って兜の緒を締めよ」だ。
本格参戦前に、11月2日はつかの間の”嫁サービス”。
大学同期も交えて、妻とのラウンドレッスンを入れている。
比嘉の指導でゴルフを始めて1年余りで「92」を出したという明恵さん。「”先生”がいいからですね」。4つ年下だが、明恵さんにはとても頼りになる旦那だそうだ。
「結婚しても、本当ならこんなに一緒にいられることもない。自粛期間はほとんど家にいて、2時間も3時間もパターマットで練習していましたね」。連続して入るまでやめない”10回チャレンジ”を地道に毎日10セット。「練習の成果が出て本当によかったと思います」。コロナ禍の新婚生活で、目の当たりにした夫の努力を、しみじみと称えていた。