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全英オープン2日目
その中で“日本代表”が耐えた。
この日74で回った池田勇太は開口一番。「ヘトヘトです。下手くそ過ぎて…」。3アンダーからスタートした1番、7番ではバーディチャンスを逃して苦笑いが出た。5番では、ほんの短いパーパットを逃した。「ラインも、風も。最後の最後まで考えすぎて。パットが入ってくれなかった」。
行ったきりの前半は、強い雨。クラブハウスに向かって延々と帰ってくるインコースは、「雨は止んだが風が出てきた。昨日とは90度くらい違う風」。横殴りの向かい風の中で、12、13番の連続ボギーのあと、仮設物による救済を受けた15番こそ耐えどころだった。
深いラフの上でドロップしたボールが小さな穴に入り込む不運に「最悪。終わったわ、今日」と、諦め半分も冷静にフェアウェイに刻んで、110ヤードの3打目はピンそばに寄せて、パーを拾った。
せめて最後の18番も、カップに嫌われたが「ダメなときはダメ。諦めが肝心」と、イーブンパーでこらえてメジャー通算5度目、全英オープンは38位につけた2011年以来2度目の決勝ラウンドを果たして「今日ももう少し我慢できたのではというところもあったが切り替えて、また明日頑張る」。
市原弘大も耐えた。最後の18番は、明暗を分ける1.5メートルのパーパット。「考えてもしょうがない。思ったとおりにしっかり打つ。それだけ」とねじ込んだ。
辛くも決勝進出に「こんなに嬉しいことはない」。
アンカリングの禁止の適用が始まった今シーズンも5月から、あえて再びバッグに入れた。馴染みの長尺パターを握りしめていた手で、珍しくガッツポーズを作った。思わず目頭を押さえた。約8000人収容の巨大なギャラリースタンドから自分を見下ろしていた父親も、泣いているんだと分かって余計に泣けた。
上がってすぐに呼ばれたインタビュースペースでも「思い出したら泣けてきちゃう」。4年前に、屈辱の最下位で2日目にして降りた舞台で初めて生き残り、泣きながら苦しかった1日を振り返った。
2アンダーから出たこの日は、ボギーが立て続いて、予選カットラインはあっという間に背後に迫った。「パーを獲りに行こうとすると、すぐにボギーになっちゃう。毎ホール、バーディを獲るつもりでやった」と窮地でも、攻めの姿勢を貫いた。
6番でチップイン。希望をつないだ。「あんまり経験したことのない強い風」。その後、再びボギーが立て続いても「次のホール、次のホールとひたすら頑張った」という。
13番で、8メートルのバーディが来た。14番では5メートルを沈めた。連続バーディで「余計に頑張ろうと思った」と、ますます気合いを入れた。
最後のパーパットは、これまでのプロ16年の中でもいくらでも覚えがある。
「日本ツアーでもああいう最後の1打を外してシード落ちとか。入れなくちゃいけないと、強迫観念にかられてヒットできずに凄く後悔したとか。経験が、微妙なパットに生かされている」。
通算4オーバーは歓喜の予選通過も「僕は世界ランクで何番目かも分からないくらい。順位的にも一番下で、これからも挑戦者であることに変わりない」と、涙とともに、止まらない鼻水をすすって「この2日間は、自分のゴルフを押し通せた。残り2日も自分のゴルフをして一つでも上へ」。
賞金王の金庚泰 (キムキョンテ)も、通算1アンダーで決勝ラウンドに進んでいる。
全米オープンに続いてメジャー連続予選落ちを喫した松山は、「技術的なことも、精神的にも上手くいかないときは少しミスすると、どんどん悪い方向に考えてしまう。悔しいですね」。