記事

帰ってきた飛ばし屋! 額賀辰徳が復帰までの道のりを語る(ジャパンゴルフフェア)

JGTOのトークショーに参加してくれたプロは4人。中でもマイクラブを持参したのは額賀だけ! 飛距離へのこだわりはハンパじゃない
この男の帰還を待っていた、ファンがこんなにもいてくれた。2月21日に最終日を迎えた「ジャパンゴルフフェア2016」のJGTOブースは、いよいよ今回最後4人目の選手を迎えて静かな興奮に包まれていた。

まず最初のプログラムは手始めにトークショーから。・・・いやいや、それより早くこっちが見たい?! トラックマンブースでのデモショットが見たくてたまらぬファンのみなさんを、司会をつとめたJGTOの小山和顕がなだめすかして(!?)まずは日本一奪還までの長かった道のりを語る。

「いや、苦労しましたね〜」。千葉県の中央学院大学時代は、関東アマ連覇。日本学生でも連覇。04年には日本オープンのローアマも獲った。「アマチュアのときは強かったんです」。身長は183センチ。「体にも、恵まれましたね〜」。大器と呼ばれ、06年に鳴り物入りでプロ転向を果たしたものの、そこから苦労の連続だった。

09年に初シード入りも、翌年すぐに陥落してからが大変だった。
自嘲の笑みで「去年は、QTのビリから2番目の資格で参戦ですよ」。どん底から、逞しくなって這い上がってきた。昨季は、出場12試合中予選通過はわずか5試合。「・・・それ、言います?」と本人も、苦笑しながら振り返った。
「でも去年は予選を通過できたら、ほとんど上位で戦えた。昔は初日から300ヤード飛ばして、ガンガンに気合いを入れて、3日目には息切れしてシュッて消えていたけど今は良い意味で、決勝ラウンドまで余力を残して戦える」と、燃費のよいゴルフでシード復帰は昨季、自身にとっての最終戦、11月の「カシオワールドオープン」でどんでん返しの復活劇に、もひとつオマケがついてきた。
代名詞のドライビングディスタンスでも、逆転の“王座奪還”で4度目の栄冠は、元祖・飛ばし屋の大先輩、小山内護と並ぶ記録と分かって「おっ・・・」と、短くうめいた。次は、史上最多記録がかかると知って「アドレナリンが出てきた」と、にわかに色めく。

「やっぱりゴルフは飛ばしてなんぼ」。
人より飛ぶ分、それだけリスクも高くなる。フェアウェイが使える幅も狭くなり、「フェアウェイキープやパーオン率では藤田さんにはかなわない」と、このトークショーは午前の部でJGTOブースを沸かせた大先輩を引き立てつつ、それでもあの快感と優越感はやっぱり譲れない。
「人より飛ばして、まっすぐ行ったときには誰よりも近くに寄せて、誰より多くバーディ取るのが、僕の近道」。
最大の武器を捨てるつもりはさらさらないが、先月の「SMBCシンガポールオープン」では、腹筋の肉離れで「生まれて初めて棄権をした」。痛恨の今季初戦に31歳は「もう一度鍛え直す」と体幹トレに励むオフ。昨年のフェアウェイキープ率99位(49.89%)は「自分としては、去年よりも良くなっているのですが」と、満足してばかりではなく、せめて「半分、50台まで%を上げたい」と、このトークショーに来る前に契約先のブースでも話してきたばかりだが、「ゼクシオ9(ナイン)なら、実現させてくれるのではないか」と、一方では名器の力も借りながらショットの安定性も、今年は求めていくつもり。

両方兼ね備えれば、鬼に金棒。誰にも到達できない領域へ。ついに後半は、待望のレッスン会でど迫力の豪打を披露した。ファンを未知の世界へ引き込んだ。今回、JGTOブースのトークショーでは4人のプロに登場してもらったが、中でもマイクラブを持ってきたのは、額賀ただ一人。
こだわりのドライバーで挑んだドラコン対決では、静岡から来てくれた。14歳の中村勇貴さんからの挑戦を受けて、あえて本気に。マイバッグのポケットから、ごそごそと出してきたのはこれまたオウンネームボールで、練習球とそれとでは「クラブとの相性が全然違う」と、トラックマンでビシッと300ヤード超えを記録して、将来ある中学生もこっぱみじんに素直な羨望のまなざしを向けさせた。
「僕も、額賀プロみたいに飛ばしたい!」と中村さんの輝く目をまっすぐに見つめ返して「・・・頑張ってね!」。

みんながこの男の帰還を待っていた。デビュー当時から、額賀のファンという紳士は「彼がコースで3番アイアンを抜く姿がたまらない」と言った。先の海外2戦はミャンマー国際空港で、ラフにリュックを担いで颯爽と歩く姿はすらりとした長身と、端正な顔立ちがモデルばりで、プライベートシーンもひときわサマになっていた。
大器がついに才能を開花させれば、きっと男子ツアーは盛り上がる・・・・・・!
「今日、このトークショーを最前列で聞いてくださった方はきっと一番に喜んでくださると思うので」。復帰元年の今年はぜひ記念の初Vで報いたい。
  • 14歳の中村くん相手に、本気の勝負! 誰にもまね出来ないプロの力を見せるのも、大事な仕事
  • 中村くんとの勝負には楽勝したけどボールをプレゼントする優しさ。
  • 今日、トークショーに駆けつけてくれた人たちのためにも頑張る!!

関連記事