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関西オープンゴルフ選手権競技 2019

待ってろサトシ! 大槻智春がプロ10年目の初V

大正15年に始まり、昭和の戦禍もくぐり抜け、平成、そして令和元年の今年は85回目。4時代目に突入した日本最古のオープン競技で30歳の大槻が、悲願のツアー初優勝を飾った。

3打差の4位から出て、ボギーなしの65で回った最終日のバーディ戦が、最後は我慢比べになった。本戦の最終ホールで2.5メートルを沈めて土壇場で追いつくと、星野陸也とのプレーオフは4ホールもかかった。

サドンデスの18番パー4は、ワンオンも狙える実測344ヤード。
星野は日本を代表する若き飛ばし屋だが「僕のほうが曲がらない」と、自分を信じた。「刻んで負けるほうが悔しい」と、本戦から5ホールとも負けじと1Wを握った。
1ホール目にラフからのアプローチをミスするピンチもしのいで、最後は3メートルのバーディパットで決した。
「やっと勝てた。長かったな」。
初Vまで10年かかった月日を同時に思って、ちょっぴり泣けた。

2010年に「すぐに活躍できる」とプロになったが最初の7年で、出られたレギュラーツアーはわずか3試合。
初シード入りも、昨年がやっと。
対して日大同期の小平智はツアー通算7勝。昨年は、日本人として5人目の米ツアーを制した。
「智(サトシ)が勝つと、嬉しいけど悔しかった」。
親友の存在がまぶしく、時に苦しかったが「昔からやってきたスイングを、ダメだから変えるのではなくやり続けることが大事。何か一つのことをやり続ける方が、強さや自信になる」。
2017年には、チャレンジトーナメント(現AbemaTVツアー)で"賞金王"に輝き、「プライドを持ってもいい」。
やっと手にした出場権と自信を糧に、初優勝にこぎつけた。

勝てない間は仲間の勝利を祝ってばかり。
「自分がツアー初優勝する時って、いつかな。その時に、残ってくれる仲間はいるのかな」。夢見たシーンも冷たい水しぶきでようやく現実のものとなった。

次週は全英オープンの出場権もかかる「ミズノオープン(5月30−6月2日、ザ・ロイヤルゴルフクラブ)」。
大槻の地元茨城県で開催される大会で、小平が今季の国内初戦を迎える。
親友の久々の帰国の前に、ひとつ胸を張れる材料ができた。
「僕も将来アメリカでやるのが夢。いつか智に追いつけるよう頑張る」。
再会の時が楽しみだ。

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