記事

ついに開かれた歴史の1ページ、代表メンバーたちの胸に刻まれたもの〜第1回ダイナスティカップ ハイライト特集〜

普段、ニコニコと穏やかな笑顔を絶やさない宮瀬博文が、ホールアウト後、真っ赤な顔をして思わず叫んだ。
「ちくしょうっ!ほんっと、悔しいよっ!」

今回、リザーブ選手としてエントリーした宮瀬。
2日間、熱戦を繰広げるメンバーたちに声援を送りつつ、もしもの場合を考えて、ひっそりと調整を続けていた。
初日は、練習場で打ち込み。2日目には、スタートが終わった約2時間後、ひっそりと静まりかえった1番ティからひとり、練習ラウンドにも出ていた。

準備万端の宮瀬に、最終日、いよいよ出番がやってきた。
体調を崩した深堀圭一郎のピンチヒッターとして出場したのだ。

スタート前には、その深堀とキャプテン青木の2人に「頼んだぞ」と力強く肩をたたかれ、「頑張りますっ!」と威勢良くスタートしていった。

アジアンPGA賞金王、ジョディ・ランダワとのシングルス戦。
7番で先に宮瀬が1アップを奪うが、後半、他のメンバー同様、グリーン攻略にてこずってズルズルと後退していく。
「それでも、僕には勝つことが第1条件。みすみす負けるわけにはいかないと踏ん張った」

劣勢ムードから、17番で1ダウンまで盛り返し「よっしゃ、最後に一発いくぞ!」と意気込んだのが、アダとなったか。

打ち上げになったグリーンへ、左ラフからの第2打。
「球を上げようとする思いが強すぎて、フェースが開き、トップしてしまった・・・」
グリーンを捉えきれず、結局2ダウンで敗退。
「せっかくチャンスをもらった最終日、なんとか貢献したかったのに・・・」
顔をゆがめて、唇を噛んだ。

控え選手として、ロープの外から冷静な目を注いだチーム戦の2日間。
何より、アジア勢の異常な盛り上がりに驚かされた。
「彼らの、名誉のために戦うという意気込みは、僕らの想像を越えていました」と振り返った宮瀬。
「僕らも彼らに負けないよう、この経験をもう1ステップ上がる糧にしたい」と心に誓った。

関連記事