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選手会便り「時松隆光の震災10年。そして、これからー」
その中で、現・選手会長の時松隆光(ときまつりゅうこう)は何を思い、今後の選手活動にどんな未来を描いたのか。語ります。
「いつもジャパンゴルフツアーにあたたかいご声援をありがとうございます。
選手会長の時松隆光です。
11日のテレビニュースで、震災で亡くなられた方や、まだご不明の方は2万人以上、また10年後の今も県外に避難されている方々は、4万人以上もおられるということを、拝見しました。
ご家族がいまだに戻って来られず、この日は毎年海岸にお花をお供えしにいかれる女性のお話しなど、改めて、東北の方々の悲しみや、苦しみの深さを知る1日となりました。
僕の地元の福岡県は、10年前の震災の影響はなかったですが、あの日は高校(沖学園)の部活後にバスで帰るところで、監督から『東北のほうで大変なことが起きたらしい』と知らされ、急いでニュースを見て、ものすごく衝撃を受けたことを覚えています。
2011年は僕が翌年のプロ転向を見据えていた年でもあり、8月には地元開催の『KBCオーガスタ』でプロの試合も経験させていただき、会場では震災のチャリティ活動も行われていて、憧れの選手のみなさんに緊張しながらも、将来の自分の姿を重ねて見学させてもらったりしたことを思い出します。
まだ高校生でしたし、大した金額はできなかったのですが、自分でも何かしなければという思いに駆られてコンビニに行くたびに、レジ横に置いてある募金箱にお釣りを入れたりしました。
10年目の昨日もコンビニに行って当時の自分を思い出し、ささやかながら、原点に返る気持ちで募金させていただきました。
毎年、選手会では東北3県に、福祉車両の寄贈を行っておりますが、昨年はコロナの影響で大幅に台数が減ってしまい、複雑な思いで各県での寄贈式に伺ったのですが、先々で本当にすごく喜んでいただいて、みなさんから『ありがとう』とお礼を言っていただき、とても胸が熱くなりました。
たとえ規模は小さくなっても、これからも末長く寄贈を続けていこうという気持ちで、僕たち選手の思いは一致しています。
僕は、復興支援を掲げて福島県で2014年から始まった『ダンロップ・スリクソン福島オープン』で、16年に初優勝をあげて、シード権を獲得し、それを機にゴルフ人生が激変しましたので、特に感謝と思い入れがあります。
いまだにご自宅に帰れない方や、大切なご家族を亡くされた方、地震の影響を受けて今も苦しい思いをされている方々のことを忘れず、これからも常に東北に心を寄せて活動をしていきたい。
この10年間には台風や水害などでも大きな被害が各地で起きています。また昨年は、新型コロナウィルスの感染も広がり、みなさん窮屈な生活を強いられている中で、僕ら男子ゴルフも明るい話題をできるだけたくさん提供していけるよう、頑張っていかなければと、心を新たにした震災10年目の1日となりました。
4月には、1年ぶりに「東建ホームメイトカップ」から、2021年のスタートを迎えられます。まだ通常どおりの開催とはいきませんが、早く試合がしたくて選手全員、うずうずしています。
一丸となって、男子ゴルフのスリリングなプレーや白熱した展開を、初戦からたくさんお見せしていきたい。
そして、僕自身の目標としては、まず6月の『ダンロップ・スリクソン福島オープン』で大会2勝目を飾り、再び会場を盛り上げることができたらいいのにな…と、思っています」
ジャパンゴルフツアー選手会長 時松隆光