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中西直人のハワイ回顧録/ 米ソニー・オープン・イン・ハワイ番外編
米初参戦を期して、去る「ソニー・オープン・イン・ハワイ(1月14ー17日)」の出場予選会に参加してきた。
1月10日に行われた一次予選はクリアできたが、翌11日の最終予選は約80人中4人という狭き門(両日とも会場はホアカレイCC)。
「カットラインが4アンダーという中で、12番ホールを終えて3アンダーでした。正直、オレ本戦行けるんやろな、と」。
自分に期待した途端に「バーディ欲しい」と、欲が出た。
すると、「ティーショットマン振りのマン捕まり、マンチーで池(訳:ティショットで思い切り振ったら、思い切り捕まって、左の池に入った)」。
直後の13番での池ポチャボギーを契機に一気に崩れ、結局イーブンパーで敗退。
弟分の亀代順哉(かめしろじゅんや)と小斉平優和(こさいひらゆうわ)と共に遠征したが、亀代は3アンダーで1打及ばず。
米二部のコーンフェリーツアーで戦う小斉平は、最終予選から出場できたが1アンダーに終わった。
「合宿を兼ねたわけでもないですし、もちろんバカンスもない。この時期ですから」と、3人とも即日無念の帰国をした。
けしてお安くない遠征費に、出入国時の3度のPCR検査と、ただでさえお金と手間がかかったコロナ禍の遠征は、徒労に終わった。
「ただただ、本戦に出たいがために現地に行って、失敗して帰ってきました」と、手ぶらで戻った。
だが、「収穫しかなかったです」と、中西は充実感で一杯だ。
2019年の賞金ランキングで64位につけて、初シード選手として挑む20−21シーズンは、ジャパンゴルフツアー選手会の理事に初就任。
「人に楽しんでいただくには、まず自分が楽しまないと」が、口癖のお祭り男は昨年の、ステイホームで一生懸命考えた。
「男子ゴルフを盛り上げるにはどうするか」。
結論のひとつが、このたびの初挑戦だった。
「積極的に外に出て、結果を残して帰ったら、きっとギャラリーのみなさんも今まで以上に僕らの試合を観に来てくださる。一石二鳥どころか、四鳥(よんちょう)にも五鳥(ごちょう)にもなる」と、初春から試みた有言実行。
本戦突破とはいかなかったが、「昨年から挑戦したいとずっと言ってきて、実際に口だけではなく、まずは最初のステップを踏めたこと。失敗してもいい。何を言われたっていい。まずは一生懸命トライしたこと。お金にかえられない経験ができました」と、めげていない。
自身のインスタグラムでは、亀代と小斉平の溢れるほどの才能も、合わせて紹介。
「2人ともバケモノクラスの飛ばし屋で、現地でも僕は100ヤードくらい置いていかれた。切磋琢磨で頑張ってるし、彼らみたいにいい選手が一杯いる。男子ゴルフの未来は明るいですよ!」と、有望な若手のアピールにも力を入れる。
「少しでも世界ランキングを上げて、いずれはメジャーにも挑戦したい。男子ツアーを盛り上げたい」と、自身の夢と思いも膨らんでいく。
ゴルフ界を思って見せるプレー中の愉快なパフォーマンスや明るい笑顔は関係者の間でもよく話題にのぼり、自身のスポンサー契約も、この1月からさらに2社を加えて計10社に増えた。
昨年は、コロナ禍でほとんどの試合が中止となり、「自分ひとりの力では何もできない」と、痛感。
「応援してくださる方々や、いつも支えてくれる家族には、とにかく結果でお返ししないと。それを形にできる自信も最近、ようやくついてきました」。
ハワイでの初挑戦から帰ってただいま隔離の真っただ中。
恩返しの次の一手と方策を再熟考する時間は、たっぷりある。