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選手会長より「主催者と関係者のみなさま、選手、キャディ、そしてファンのみなさまへ」
今ごろなら、取手国際ゴルフ倶楽部の18番で、全国の予選会を勝ちぬいたアマ300人の方々と、プロが一同に介して健闘を喜び合っていたところ。
「しかし今年は我慢して、来年に力を向けたいと思います」と、石田純哉ゴルフパートナー代表取締役社長。
今年はやむなく賞金ランキングには加算のない、プロによる2日間競技に短縮。無観客で、キャディさんもつけず、出場全96選手による完全セルフプレーで行われたが、それすら主催者の方々には苦渋の決断だった。
このコロナ禍で、同社も3000人以上の社員さんの生活を抱える。
「この大会自体も、見合わせようかという思いもあった」と、石田社長は振り返る。
「でも、やってよかった。選手のみなさんが、インターネットを通じて素晴らしいプレーを見せてくださって、とても盛り上げてくださった。それを全国の社員も見てくれていると思うと、胸が熱くなる思いです」。
主催者の総評を、選手会長も嬉しく聞いた。
「本当に厳しい状況の中で、僕たちのためにこうして一つの形にしてくださったこと、本当に感謝したいと思います」と、時松隆光は改めて、礼を述べた。
選手会長に就任して初めての実戦は、全関係者に事前のPCR検査を行い、一人の感染者も出さずに、無事に終わった。
期間中も、感染防止策を徹底して「いろんな意味で、僕らが前進していける大会にしていただけた。今後のツアー再開のモデルケースとさせてもらえるはずです」と、確信している。
この日、優勝した関藤や、2位の和田など、V争いを繰り広げた選手たちの戦いぶりを見ていて時松が痛感したのは「みんな、動きたくて(試合をやりたくて)、本当にしょうがなかったんだと。その思いが2日間のビッグスコアに現れたと思います」。
しかし、今大会が終われば男子ゴルフは少なくとも、9月まではまた試合ができない。
ここ数カ月の間にひとつ、開催中止が発表されるたびに、時松にも心苦しさしかなかった。
「主催者の方々とJGTOで、ギリギリまで話し合いを重ねても簡単には決められないことばかり。選手のみなさんを不安にさせているのはわかっていても、僕にお答えできることは少なくて。選手会長として、いまだに何も出来ていない。そこは本当に申し訳なく思っています」と、改めて詫びた。
「それでも、選手副会長のお三方(池田、石川、小鯛)にはすごく協力してもらって、電話会議で毎回、2時間、3時間もかけて、今後について良い方向に行くように、話し合ってもらっています。そこはご理解いただきたい」と、呼びかけた。
今回は、感染防止の徹底から、プロキャディのみなさんにも参加してもらえなかった。
「今回のセルフプレーでいかにキャディさんの存在が大きいか分かって、ありがたみが増しました。密を気にせずプレーができる日まで、もう少し待っていただきたい」と、訴えた。
ギャラリーの入場も今回は、ご遠慮してもらった。
「そのかわりに今回は、インターネットの生中継でご覧いただきましたが、やはり生で観ていただくのが、僕らプロ選手の醍醐味です」と、一刻も早いコロナの終息を待ちわびる。
先月、開幕した女子ツアーも、無観客でも大変な数の視聴者数を記録した。
「でも、男子はまだまだ。僕がやらなくてはいけないことが、一杯です」と、コロナ禍での選手会長の課題を指折り数える。
「今日のスコアからもわかるように、男子ゴルフもレベルが上っているのは間違いないと思います。今すぐ、というのは難しいかもしれませんが、この中から世界で活躍できる選手が必ず出てくると僕は思っていて、僕自身も含めてそこを目指して頑張っていきたいと思います」と、力を込めた。
時松自身は通算6アンダーの27位タイで大会を終了した。
「久しぶりに大会を開催していただいたおかげで、試合勘を少し取り戻せたと思います。ツアーがまた再開できる時までに、僕ももっと鍛えて、これからまたしっかり調整していきたいと思います」と、気合を入れなおす契機にもなった。
今週は家を出てすぐに、地元福岡でも豪雨災害が発生。
すぐに両親に連絡して安全を確認できたが、周辺地域が心配だ。
「帰って、状況を確認したいと思います」。
最後に、選手会長としてもう一度、スポンサーや関係各所の部屋を回って「みなさま、今週は本当にありがとうございました!」。
来年こそ本来の形での再会を誓い合って、選手会長はお世話になったコースを辞した。