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日本オープンゴルフ選手権競技 2020
トップ5にアマ3人! 前代未聞の決勝ラウンド
単独首位には、日体大3年の河本力(かわもとりき)さんが立った。
日大4年の桂川有人(かつらがわゆうと)さんと、東北福祉大3年の杉原大河(すぎはらたいが)さんが、谷原秀人と今平周吾に並んで、1打差の2位タイにつけた。
「今のアマチュアは、ほとんどプロと変わらない。凄いですよね」と思わず声をあげた今平。「プロの意地を見せていきたい」。昨今のアマチュアは、2年連続賞金王にも火をつける勢いだ。
河本さんは、女子プロの河本結さんの2つ下の弟。「プロになり、早くアメリカに行きたい」と、姉譲りの海外志向をちらつかす。
十分通用する自慢の豪打も、中学時は「全然、飛ばなかった」という。
転機は、高校生から始めた筋トレ。
身長177センチと体重60キロから、183センチ92キロの急成長で「飛距離も数十ヤードは伸びた」という。
今週の難コースでも終始「有利」にゲームを運び、第1打で選ぶクラブも1Wを手始めに3Wや2I、時には4Iと、バリエーション豊か。
「毎日、3アンダー伸ばすのが目標です」。
でも、2アンダーにとどまったこの日、悔しいのは池に入れた12番と「凡ミスでパーに終わった7番」。そして、林に入れてボギーとした4番。
「飛距離は問題なくても精度が悪いので、ミスもある。勝てるとは、思ってないけど明日から、また3アンダーを目標にして、それに優勝がついてきてくれたら嬉しい」と、ハキハキと言った。
2位タイにつけた杉原さんとは、同学年だ。同じ四国の出身で「小学校からの親友」という。大学は違っても、今もとても仲良しで、練習日の水曜日も一緒に練習ラウンドしていた。
杉原さんも十分飛ばし屋だが、河本さんがあまりにも飛ぶので「置いていかれて自信を無くす。リキとは、あんまり一緒に回りたくない」と、冗談を言ったが「小さいときから一緒に頑張ってきた。プロの試合で戦えるのは嬉しい」と、展開を喜んだ。
互いに大会初出場だ。難コースで杉原さんも河本さんと同様に、第1打で1Wを極力持たずに、「距離が残っても、フェアウェイに置くことを最優先。それがこの2日間はうまくいっています」。
未知の大舞台でも、若い才能をいかんなく発揮する。
今年はコロナ禍で、海外に住むシード選手が出られない分、予選会から出場枠を充当。そこから河本さんや杉原さんら、イキのいいアマチュアが大挙して流れ込んだ。
ただし、2位タイで並んだ桂川さんは、昨年の今大会で23位タイにつけて、ローアマを獲った”シード選手”だ。また、一昨年大会の2日目には単独首位に立つなど、実力は実証済み。
河本さんと杉原さんより1学年先輩で、来季にもプロ転向を控えた大学4年生。「みんな上手なことは分かってますし、日本一を決める舞台で一緒に上位争いできるのは凄い嬉しいですけど、年上として負けたくない」。
若い力の切磋琢磨で、大会史上2人目のアマVが達成されたら、1927年の第1回大会を制した赤星六郎氏(当時28歳)以来となる93年ぶりの快挙である。
※99年のJGTO発足後、トップ5にアマチュアが3人並ぶのは史上初です。