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着られなかった勝負服。中西直人の「もしもシリーズ」【動画付き】
そろそろ、今年国内最初の勝者が誕生する頃。
「”もしも行われていたらシリーズ”で言いますと……」。
今季シード1年目の中西直人が勝手に妄想。
「多分、僕が優勝してます!」。
元気いっぱい言い切った。
ちなみに、優勝スコアはその日のコンディションや、V争いの相手も加味して「きっと16アンダー前後。それも大接戦の末ですね!」。
自粛生活が続く、自宅でイメトレ。「そのくらいの気持ちで臨みたかった」。
最終日の勝負服も決めていた。
この週、お披露目予定だったウェアは、17年に自ら立ち上げたブランド「”SUNRISE(サンライズ)”」のもの。
コンセプトは文字通り、「太陽みたいにサンサンと! 今まで10年のプロ人生は、沈んでるほうが多かったですけど(笑)ここからぐっと昇って行こうよとの思いをこめて」。
よく見ると「SUNRISE」の「U」が「A」をひっくり返したような形になっているのは15年に結婚した愛妻、愛莉(あいり)さんのイニシャルに見立てているから。さらに頭文字の「S」は長女の寿華(すみか)ちゃんで、「RISE」の「R」は次女の莉華(りはな)ちゃん。
「そして『SUN』の『N』が僕、直人です」。
試合にすら出られない時期にも、励まし続けてくれた家族への思いがつまったマイブランドは、最初キャップやキャディバッグのグッズから始めて、今年からゴルフウェアにも着手。「シンプルだけど、ぱっと目を引くオンリーワン商品」の開発と販売を目指して自らデザインも手掛ける。
着心地や、品質にもこだわり今オフは、年明けこそ練習の合間に都内のメーカーを忙しく行き来していたそうだがこのたびのコロナ禍で、製作は3月初め頃から遅々として進まなくなり、実は写真の勝負服もまだ、サンプルの段階だ。
5月の連休明けにはなんとか完成できそうだが男子ゴルフは少なくとも同月いっぱいまで中止。
新商品の初披露もおあずけ状態が続くが「今は、ウェアはどうでもいいくらいの気持ち」と、中西は言う。
「それより、ただただ早く終息して日本中が元気に戻って欲しい。まずはみなさんの健康あっての僕らですから」。
本格参戦を果たした昨シーズンは、試合でガッツポーズをする代わりに、軽妙なダンスを披露。
「ナイスプレー」と声をかけられたら、必ずそちらに向かって「ありがとうございま〜す」。コースに関西弁を響かせていた。
大阪の岸和田出身のお祭り男にとってファンサービスは呼吸をするより自然なこと。
「みなさんの喜びが、僕の喜び」が信条だ。
全国に緊急事態宣言が出された今は、7年前に父親の浩幸さんが、自宅の敷地内に作ってくれたインドア練習場で調整を続けながら、SNSにせっせと動画を投稿中。「せめてみなさんに笑いを」と、日々ネタ作りに頭をひねらせる。
昨年の自身の最終戦「カシオワールドオープン」(18位T)で、前週の賞金ランク72位から64位へ。プロ10年目の初シードにぎりぎり飛び込んだ。
レギュラー昇格元年の今季は「必ず初優勝するつもりでそのイメージも出来ていた」。
国内開幕戦の舞台である三重県の東建多度カントリークラブ・名古屋は「得意コース」と相当、気合も入っていた。
だが今年は新型コロナウィルスの影響で、夢と消えてしまった国内開幕戦。
「もしも今日、ほんとに勝ててたら…」。
初めてのVスピーチで、真っ先に伝えたかったのは、胸いっぱいの感謝の気持ち。
「主催の東建コーポレーション様、関係者、ギャラリーのみなさん、ボランティアのみなさん、今年から練習させていただいている信和ゴルフグループのみなさんや、サポート契約を結んでくださったサトウ食品のみなさん……」。
そして、もちろん最愛の家族にも。
「この気持ちを表彰式で、早く言いたい。いま一番の夢ですね」。
その時こそとっておきの勝負服も、一段と映えるはずだ。
※19日 16時から、テレビ東京で「東建ホームメイトカップ 特別編」放映されます!
<中西直人 フードインに見せかけて…。リフティング、からの〜〜〜>