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「一緒に頑張ってきた仲間のために」広がる支援の輪

キャディさん不在で行われた先々週の練習R時。塚田(左から2)は時松(右)を通じて石川の基金協力へのオファーを受けたJGTOimages
石川遼が、女子プロの青木瀬令奈さんや有村智恵さんらと、キャディさんなどゴルフトーナメントに関わる方々を支援する基金を設立した。

16年の「日本ゴルフツアー選手権」でツアー1勝の塚田陽亮(つかだようすけ)も、その趣旨に賛同した選手会長の時松隆光を通じて同基金への協力要請を受けた。
「遼たちが一生懸命やろうとしていること。もちろんできる限り応援させてもらう」と、即応した塚田も、つい先月までプロキャディのみなさんへの支援に奔走したばかりだった。

「男女ツアー共に次々と開催中止や延期となる中で、自分もキャディさんの立場だったらと考えました。今はどの業種でも大変なのはもちろんですが、いつも一緒に頑張ってきた”仲間”のために、自分に何ができるか考えました」と、オリジナルキャップの製作・販売で、支援金を集めることにしたという。

インスタライブでファンの皆さんからデザイン案を募るなどしてチャリティの告知にもつとめながら、4種を完成。自身のSNSで、5月末からの販売にこぎつけた。

1口1万円の設定で、キャップと共にサインボールや所属先ホクトのレトルトカレーの”おまけ”もつけるなど、工夫を凝らして約1カ月で300個を売り上げた。

「材料費を差し引くと、そんなに大金は残らなかったですけど、それでも試合がなくて、困っているキャディさんたちに少しでも喜んでもらえたのはよかった」と、安堵する。

「こんな時だからこそ、返せるものもある。支援の輪がますます広がって、みんなが少しでも幸せになれればと思う」と、話す。

男子ゴルフは少なくとも8月一杯まで試合ができない。誰もが窮地の中で、助け合いの輪は静かに広がっている。

6月末に、今季の初戦を迎えた女子ツアー「アース・モンダミンカップ」の会場では、谷口徹が専属キャディに給付金を支払っていたことがわかり、関係者の間でも話題になった。

先輩プロの”男気”に触れて、若い堀川未来夢(みくむ)も「谷口さんほどのことは無理でも、僕も少しでもできることを」と、感銘を受けた。
卒業した今も、堀川がコーチをつとめる日大ゴルフ部に今年、清水重憲(しげのり)キャディの息子さんが新入生で入部してきた。
これをせめて好機にと、「息子さんを通して、ノリさんに少しでも返していきたい」。
不要になった練習ボールや用具を譲ったり、日頃の指導などで堀川も恩返しにつとめている。

感染リスクを減らすため、完全セルフプレーで開催に踏み切った7月9日、10日の「JGTO共催ゴルフパートナーエキシビショントーナメント」ではキャディさんの存在を、誰もが改めて噛みしめる2日間となった。

再開の日を待ちながら、みなそれぞれのやり方で思いを形にしようとしている。
  • 塚田プロデュースのキャップ。洒落の効いたデザインが好評でした!
  • 昨年の堀川のツアー初優勝を支えてくれた清水キャディ(左)。いつもお世話になっている人へ。それぞれの思いを形に©JGTOimages

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