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日本プロゴルフ選手権大会 2021
「本来、あるべき池田勇太」紫のウェアで単独首位獲り
「絶対に勝ちたい」。
池田勇太が、もっともスコアやゲームが動くといわれる土曜日のためにチョイスしたウェアは、上から下まで全身、紫一色。
もっとも大好きな、勝負カラーだ。
「気持ちがノッていないと選ばない色。大会前からこの日に、と決めていた。自分らしいプレーができたらいいな、という気持ちの表れ」。
下ろしたてのウェアで張りきって会場に来てみたら、今年のスタッフウェアも同じ色。
「オフィシャルの人とカラーがかぶったということで、どうして私と同じような色を着るのか」と、冗談交じりに反抗しながら、それでも、どこか嬉しそうに「今日いいゴルフができたのも、ウェアの色が後押ししてくれたと思う」と、ボギーなしの7バーディを記録。
他にも12、13番など取りこぼしはあったが「ここは、クセのあるグリーンですから。初日、2日と決めきれなかった数が日に日に減って、その分、バーディの数も増えて今日のこのスコア」。
ショットにも、本来のキレが戻ってきた。
そして、何より気持ちが戻ってきた。
「本来、あるべき池田勇太が戻ってきた」。
4月から、20ー21シーズンが再び開けた時には、はっきりいって集中できていなかった。
開幕から4戦目の5月「ジャパンプレーヤーズチャンピオンシップ by サトウ食品」は「自分たちの職場は自分たちで作る」と昨年、きゅうきょ構想を起ち上げた、史上初の選手会主催大会。
「一つ試合を一からやるというのは大変なこと」。
大会の実行委員長として、成功に全集中を注いで「終わるまでは頭がパンパン」。
いざ、成功裏に導いたら今度は「腑抜けになり、これではいけないと思うのですが、ゴルフは思うようにいかない。苦労を味わえたという点では良かったが、そのあと空回りばっかり」と、しばらく抜け殻のようだったが「先週あたりから、スイッチが入った」。
そのきっかけとなったひとつが、青春時代の思い出だ。
千葉学芸高校3年時の2003年、ここ日光での「日本オープン」で、初めてプロの試合で予選を通過。
「19位で、ローアマを獲得して(優勝の)深堀さんと写真を撮った。池田勇太のゴルフ人生スタートの地。今度は、ここで勝ちたい」。
今年3試合目となる有観客試合も気持ちを後押しする。
「僕がほんとにありがたいなと思うのは、やっぱりギャラリーがいるところで試合をしないと池田勇太は出ない、ということ。先週の福島もそうだし、熱気というか、人がいてくれる有難みをこの2週は凄く感じられて。今日もいろんな人が、背中を押してくれた」と、最終日を前に感謝の首位獲りを成功させた。
19年の「ミズノオープン」に続くツアー通算22勝目なら、ツアー初優勝を飾った2009年の本大会から続ける12シーズン連続V記録を達成。
15シーズン連続のジャンボ尾崎に続く、歴代2位となる。
「メジャーといわれるこの『日本プロ』でもまた勝ちたいし、それが使命と思っている」。
いざ、勝負の日曜日。最終日の気分は何色??