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バンテリン東海クラシック 2021
@中島啓太さん「2週連続優勝は、魅力」
先週、史上5人目のアマVを達成した中島啓太さん。
2週連続の快挙がかかる今週、練習ラウンドはなにげに豪華絢爛だった。
約束は、快挙が達成される前週に、すでに整っていた。
石川遼が言う。
「僕が(金谷)拓実と一回どこかでまわろうか、とずっと言っていて。そこに、啓太もいるけどいいですか、と。今週、啓太と回れるのを楽しみにしていたら、その前に啓太がたまたま勝ちました」。
石川も金谷も、中島さんも、3人ともアマでプロの試合に勝った者同士。
しかも、一番若い1人はまさに達成ホヤホヤだが、はしゃぐ風もない。
「先週、勝ったという実感がまだなくて。今日もただ、練習という感覚でプレーができた」と、中島さん。
石川がアウトの9ホールで離脱するまで、粛々としたラウンドは続いた。
つい昨年までアマのナショナルチームで一緒に戦っていた金谷が言う。
「啓太のゴルフに対する姿勢は素晴らしいですし、まだアマでももっと、上をめざしている。僕も見習うことが多いし、先週の優勝も、きっと彼には通過点」。
先週、金谷は体調管理を理由にお休みを取ったが、自宅近くで練習中に試合の速報を見て「どきどきしながら結果を見ました」。
中島さんの帰路を狙って電話をしたが、祝辞というより感想。
「啓太が勝っても別に驚かないけど、嬉しいよ」。
同じ埼玉出身で、石川の弟の航さんが同じ日体大という縁などもあり、小学時代から中島さんと旧知の石川も、「ずっと前からプロでも十分通用する選手と思っていた」と、彼をよく知る周囲には、不思議なほど特別感がない。
中島さんのご家族も、お母さんなんかはせっかく息子からの優勝報告にも「これから仕事だから後にして」と素っ気なく、上の姉の由貴さんの第一声は「泣きすぎだよ」と、Vスピーチでの涙をいじられ…。
誰も素直にお祝いしないということに、逆に21歳のすごみを感じられたりする。
でも、フェアウェイの狭い城陽で、4日間ともドライバーを握り続けた戦略については、どのプロも驚いている。
星野陸也はこの日の囲み取材で「僕には無理」と、言った。
「あのコースで振り続けるにはメンタルがいるし、しかもそれで勝ちきるのは本当にすごい」。
石川は、70人中68位にとどまった先週の中島さんのフェアウェイキープ率について、データうんぬんより「あのコースでドライバーで全部打って、OBがないというのはものすごい。逆に、誰よりも飛んで曲がらない部類に入る」と、評した。
「ラフに入っても、あれだけスコアを伸ばして勝った。ゴルフ能のベースの高さを感じる」。
今週は、難攻不落と言われる三好でも引き続き、ドライバーを持つ戦略は基本、変えないという。
ただ、フェードヒッターの中島さんには3番や14番、17番など「きれいなドローボールが必要なホールがあり、そこを無理に打って悪いイメージがつくのは良くない。スイングを壊す危険もあるから、そこは状況を見て、とジョーンズコーチにも言われている」という。
2週続きで、どんなゴルフを見せてくれるか。
「今週も、結果というより自分がやるべきことに挑戦し続けることが大事」と中島さん。
それでも、前人未踏のアマ連勝には「誰も成し遂げていないということで、魅力は感じます。チャンスがあるなら挑戦したい」。
大きなことを、さらりと言っても嫌みがなくさわやかだった。
初日と2日目は石川遼と、今週から新ホストプロの星野陸也と大注目の組でティオフする。